日本酒らしい風味と旨味を堪能させつつも、後を引きすぎない、重さが残らない特有の良さ(2025年12月|渡辺酒造本店) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

日本酒らしい風味と旨味を堪能させつつも、後を引きすぎない、重さが残らない特有の良さ(2025年12月|渡辺酒造本店)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

 

【連載第88回目】

「雪小町」の名に相応しい、淡雪のような幻想的な美しさ、儚さを持った酒。
触れた瞬間にひんやり口に溶け、広がる。
ただし一口目のそれは、決して弱いインパクトでは無い。可憐な六花、あるいは季節外れの打ち上げ花火の大輪を思わせるイメージの残像を寫しつつ、すっ…消えていく。
余韻は少ないが、それゆえに次の盃も進む。

渡辺酒造店の「雪小町」は、一口でその酒と判り易い酒。
ときに日本酒は「飲み口が重く、次の日に残る」とネガティブに言われることもあるが、この酒蔵の酒はしっかりと日本酒らしい風味と旨味を堪能させつつも、後を引きすぎない、重さが残らない特有の良さがある。まさに淡雪の幻想性とでも言うべきか。
 殊に、造りたての若い新酒では尚更。ボジョレーを思わせる鮮やかな酸味とも合わさって、一層の軽快さが心まで湧かせてくれる。

 年の瀬から新春を迎えるにあたり、新たな気持ちを吹き寄せる──そんな1本である。

■今月の美酒

・雪小町 ひょっとこ社長の純米吟醸原酒<福島県郡山市/渡辺酒造本店>

勝手にペアリングを考えてみた

  このお酒に合わせる肴も、余韻を膨らませることを狙うより酒の一口目から中盤、余韻にかけての歩幅、歩調に合わせることを意識した方が良いと思われます。終始淡泊な肴でもなく、後味を引きすぎる肴でも無いもの。

そこで今回合わせてみたのは、福島県西白河郡泉崎村の豚肉専門店ノーベルの豚肉から、豚ハラミ肉の塩焼き。じっくり香ばしく炙りきつね色にした塩焼きハラミ肉は、肉そのものと適度な脂の旨味が混じり合う一方で、余韻はやや控え目。まさに「歩幅が合う」感覚で相性が良かった。
油と合わせる場合は「唐揚げというより天ぷら」みたいなイメージ。同じ油の風味であっても、淡い口当たりや素材の風味が広がるようにした方が相性良さそうかも知れません。その意味では、淡い塩味の肴をうまく使っていくと外しにくいかもしれない。福島県南会津郡只見町のヤマサ商店「そばあられ」などは嵌りそうな予感がする。

 あるいは、モッツァレラチーズなど。他、コンソメやオリーブオイルといった洋風の味わいもいけると思われる。冬らしさを考えると、冬野菜を使ったポタージュスープ、オニオングラタンスープなども良いかもしれない。
 また、甘味には、たとえば同じ福島県郡山市の郡山製餡から「and3 あんみつ」、あるいはおしるこ、ぜんざいなど、餡子の穏やかな甘味が相性よさそう。

それでは、今回もfukunomoのペアリングを実食してみます!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・メイプルサーモン西京漬<福島県西白河郡西郷村/株式会社林養魚場>
・みそ豆<福島県郡山市/有限会社まめや>
・おナス入り 金山寺みそ<福島県郡山市/株式会社宝来屋本店>
・やまきちの温体野菜 黒胡麻れんこん<福島県伊達市/山吉青果食品株式会社>
・ショコラインクッキー ハート & ハート<福島県石川郡石川町/株式会社お菓子のさかい>

 

・メイプルサーモン西京漬<福島県西白河郡西郷村/株式会社林養魚場>

1品目は、西郷村の林養魚場(いい名前ですね!)から、阿武隈川メイプルサーモンの西京漬け。サーモン?どこにでもあるのでは?などと侮ることなかれ。「阿武隈川メイプルサーモン」とは、カナダ原産のニジマスを基に、林養魚場で長年の掛け合わせと品種改良を重ねて誕生した特別なサーモン。普通のサーモンとは別格なのです!
その特徴は、まずは脂ののりが良さ。品種改良のみならず、養殖方法やエサの追及に至るまで、こだわり抜いています。しかも一般的なサーモンが出荷まで平均1年半程度の養殖期間であるのに対し、阿武隈川メイプルサーモンは3倍近い4年もの期間をかけ、ゆっくりじっくりと育成します。
さらに那須連峰を水源にした阿武隈川の上流からの清流で自然に近い条件下で生育するため身が引き締まっていて臭みが少ない。実に理想的なサーモンとなっているのです。

刺身で食べても人気のメープルサーモンに、敢えて西京味噌を絡ませる。じっくり炙る。じわじわと染み出る旨味の甘味、西京味噌の独特の香味と香ばしさ。そこに雪小町のフレッシュな酸味を入れ込んであげると、これらの旨味が酒の中に溶け込んできて口の中一杯に広がります!
この酒は、味噌の風味を染み込ませてあげるとスッキリしながらも香ばしさが仄かに後を引いていくので、非常に効果的ですね!美味しいです。

・みそ豆<福島県郡山市/有限会社まめや>

 続いては郡山市のまめやさんから、みそ豆。別の味噌風味を、今度は豆と絡めての体験です。
口の中でお酒の水分味噌と交わり染み込むことで、豆の中に旨味と香ばしさがギュ…っと一層溜まる感覚。それを噛むごとに、じわ、じわ…っと沁みるように広がり、西京味噌とはまた別の旨味、そして豆の心地良い食感が楽しめます。これも美味しい。

・おナス入り 金山寺みそ<福島県郡山市/株式会社宝来屋本店>

 さらに今回は、味噌に次ぐ味噌。実は今回の雪小町の中立的ですっきりした風味は、味噌の食べ比べ、利き味噌を楽しむのにもピッタリなのです。お酒が入ることで味噌の風味がより引き出しやすく、香りも立ちやすくなる。旨味、酸味と絡み合って双方の魅力が引き立つのです。その上で、後味がすっ...と抜ける特性は、それぞれの味噌の余韻を最後までハッキリと感じさせてくれる。味噌だけをそのまま食べる以上に、味噌の魅力を堪能することができます。
 金山寺みそは、茄子が絡むことでアクセントに。これまでの2つの味噌とはまた違う特有の旨味と香り、その個性がお酒に引き立てられて口の中一杯に広がります。

・やまきちの温体野菜 黒胡麻れんこん<福島県伊達市/山吉青果食品株式会社>

 それぞれの味噌を堪能しながら楽しんで頂きたいのが、福島市の山吉青果食品さんから「黒胡麻れんこん」。味噌ラーメンなどでもお馴染みですが、胡麻と味噌の相性はぴったり。特有の食感と香りがアクセントになり、味噌の味わいに輪郭を付けてくれます。
さらに、れんこんのシャキシャキ感がアクセント感を一層ブースト。味は強めながらお酒が酸味やすっきりさを身上とするので、箸休め的な位置付けが出来ます。
それぞれ別の味噌と絡めるたびに別の表情を見せるので、ぜひ、これをツマミに「味変」的な楽しみ方をおすすめします。

・ショコラインクッキー ハート & ハート<福島県石川郡石川町/株式会社お菓子のさかい>

そして今回のペアリングの〆は、石川町のお菓子のさかいから「ハート&ハート」チョコレート。初めて知った方からは「おいしい!どこで買えるの?」との声が届きがちな、福島が誇る隠れた銘菓です。
 蔵元さんも、今回のお酒はチョコレートとよく合うと大絶賛。特に熱燗にすると、口の中でホットチョコレートができるようでお薦めとのこと。
 スイーツながら、実はこの楽しみ方はこれまでの味噌と同様。お酒に溶かし込むように楽しむのがポイントです。その意味では、これまでの味噌や黒胡麻も、お酒の温度を変えてみて、お好みのポイントを探してみるのも面白いかもしれません。


今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?

fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。

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申込期限2025年12月10日(水)まで