
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第87回目】
蜜のようにとろりとした濃厚な口当たり。そこから、木の実を感じさせるほのかな熟成香に続く。広く深い懐を感じさせるオーセンティックな日本酒の魅力に混じるのは、稔りの秋に相応しい円熟の調べ。杯を傾けるたびに沁みてゆく気配。
この酒質は、決して流行りの味ではないかも知れない。ただし、その真価は寄り添う肴のエスコート、ペアリングの妙にこそある。
パートナーの多様な才覚一つひとつを見抜き、魅力を最大限に引き出し、寄り添い、一際伸ばしてくれる。一癖も二癖もあっても、それらを消すのではなく取り入れ、調和させる包容力。ダンディズムとも言うべきさり気ない色香を纏った酒は、静かに佇みながらも実に圧倒的な存在感を誇る。
飲む人の感性を揺さぶる協演、あるいは饗宴。そんな奥深い、ペアリングならではの魅力を一層堪能できる一本──いわき郷又兵衛は名俳優、三國連太郎がロケで訪れたいわき市で偶然出逢い、以来惚れ込み続けた酒蔵でもある。
在りし日の名優が愛した酒を、じっくり味わう秋の夜長も悪くない
■今月の美酒
・又兵衛 原酒<福島県いわき市/四家酒造>

■勝手にペアリングを考えてみた
又兵衛原酒のトロリとした口当たり。深いコク。この酒はペアリングでこそ本領発揮!してくれるお酒で、様々な肴が持つ本来の魅力を引き出してくれます。
たとえば、鰹や秋刀魚などの青魚。そこに合わせるニンニクや生姜の薬味。他の地方の酒の場合、そのニオイの強さをトリミングして綺麗にするイメージですが、又兵衛の場合絶対値はそのまま、マイナス要素をプラスに変えてしまうイメージ 。ダイナミックな旨味が口の中に広がる、無二の体験が楽しめます。個人的にはぜひ、魚料理との相性を試して頂きたい。
そこで、今回も「勝手にペアリング」。季節感を出すなら、脂の乗った秋刀魚や、濃厚な旨味を持つ鰹、鰯などがおすすめですが、鮮度が命の食べ物を遠方に送るのは少し難易度高め。そこで今回試してみたのは、白身魚のムニエルです。淡白な白身魚をオリーブオイルでムニエルにすると、油のコクと魚の旨味がふわりと口の中で広がり、又兵衛の濃厚な口当たりと絡み合って、とろけるような美味しさを生み出します。又兵衛はかなり深めのコクを白身魚と合わせる際は、このように油を加えることで、良いアクセントになります。
今回の個人的な「推し」は、会津天宝の「うま辛胡瓜」。たっぷりのにんにく風味と、旨味に満ちた唐辛子と胡瓜の組み合わせ。程よい塩気と辛みが、又兵衛原酒のとろりとした舌触りの中に溶け込み、にんにくの強い風味が絶妙に引き立ちます。胡瓜のシャキシャキとした心地よい食感もたまりません。これは又兵衛と非常に良い相性を誇る、「いわき流の鰹の刺身」(新鮮な鰹の刺身を受け皿代わりに、たっぷりのすりおろしニンニクを合わせて食べる食べ方)を彷彿とさせる、至高の体験。この酒に絶対合わせたいと思えるほど、強くおすすめしたい逸品です。
また、この酒の力強さは、時に「やんちゃ」に思えるような風味の強い肴も、見事に受け止め、その魅力を格上げしてくれます。唐辛子系の辛味、イカのような強い風味、そして発酵食品との相性も抜群。また、意外にもカレーのような香辛料とも面白く合わせることが可能。まさに、ペアリングの楽しさを存分に堪能するための酒と言えるでしょう。
爽やかな箸休めとしては阿武隈山系の伝統料理、「きゅうりもみ」なども良いペアリングです。薄く切った胡瓜の食感と爽やかさ、ツナの旨味が、この酒の重厚な味わいに心地よい箸休めを与えてくれます。
福島ならではの季節の味を楽しむなら、芋煮との組み合わせも最高 。又兵衛のとろりとした芳醇な口当たりが、里芋のねっとりとした食感と旨味と見事に調和し、心まで温まるような一杯となるでしょう。
食後の〆には、いわきの銘菓「じゃんがら」を合わせてみてはどうでしょうか。濃厚な餡子と食べ応えのある生地が持つ強い甘みが、この酒の余韻をさらに深く、豊かにしてくれます。アルコール度数が高めの又兵衛を、じゃんがらに少し染み込ませて食べれば、まるで和風ブランデーケーキのような、極上のデザート体験が待っているはず。
それでは、今回もfukunomoのペアリングを実食してみます!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・安達太良ホルモン<福島県安達郡大玉村/有限会社大丸屋>
・ミニレッド<福島県いわき市/株式会社夕月>
・ご飯においしいうま辛大根<福島県会津若松市/会津天宝醸造株式会社>
・ラジウム玉子<福島県福島市/有限会社 かくた食品>
・ふぞろいのエリンギ<福島県いわき市/有限会社ユウ 小川きのこ園>
・安達太良ホルモン《福島県安達郡大玉村/有限会社大丸屋》
・ふぞろいのエリンギ《福島県いわき市/有限会社ユウ 小川きのこ園》


まずご紹介するのは安達太良ホルモンと、小川きのこ園の不揃いえりんぎ。これらを一緒に炒めてしまいます。
味噌の風味がしっかり染みたホルモンは、コクがありながらもクセが少なめの一品。ここに、心地良い歯ごたえと豊かな風味が人気の「小川きのこ園のえりんぎ」を合わせていきます。
一口食べれば、その豊かな味噌の風味と肉の旨味が口いっぱいに。ホルモンとエリンギの食感の違いが生み出すアクセントも非常に良い。単体でも極上の美味しさですが、この酒と共に味わうと、やはり互いの個性が絡み合い、ジューシーに昇華していきます。
・ご飯においしいうま辛大根《福島県会津若松市/会津天宝醸造株式会社》

さらにこの炒め物に、会津天宝の「うま辛だいこん」を加えてみてください。
実は、勝手にペアリングで食べた「旨辛きゅうり」は宅配便での輸送が難しい点があり、その代わりになるものとのこと。にんにくの強い香りが、又兵衛と相性抜群の「鰹にんにく」を彷彿とさせ、ホルモンに「旨辛さ」を更にマシマシ。もちろん、又兵衛との相性はそれに完璧に答えてくれます!
ホルモンとエリンギの弾力ある食感に、パリパリとした大根の食感が加わり、さらに広がりある三重奏のような美味しさが生まれます。これは非常に美味しい。
「いわきならでは」の郷土に根差した食文化に限りなく近い味わいを、fukunomo愛好家のみなさんと共有できるのは、それだけでも非常に嬉しさがあります。楽しんでくれたらいいなあ。
・ミニレッド《福島県いわき市/株式会社夕月》

次は港町であるいわきならでは、魚系のおつまみを。又兵衛と同じいわき市から、長年地元で愛されてきた夕月かまぼこの「ミニレッド」をお届けします。
蒲鉾はそのままではやや淡白な味わいですが、これを薄造りのようにスライスしてワサビ醤油で食べると、淡い香りと旨味が引き出され、とても美味しくなります。
ちなみに又兵衛は強い風味さえも味方につけてくれる酒なので、たとえば醤油を魚醤などに変えても、また違った表情を見せてくれるでしょう。手元にあった、石川県能登半島の「いしり」 を使ったところ、芳醇なイカの風味が加わって更に味わい深くなりました。
・ラジウム玉子《福島県福島市/有限会社 かくた食品》

なぜ唐突にラジウム?と言われがちですが、福島市で作られる温泉卵の一部は、日本で初めて温泉成分からラジウムが発見されたと言われる、飯坂温泉の名にあやかって「ラジウムたまご」と名付けられました。
「普通の温泉たまごでは?」いえいえ、ラジウムたまごはねっとりとした口当たりと芳醇な旨味を感じやすく、それが又兵衛原酒のとろりとした口当たりと合わさり、極上の旨味を堪能させてくれるのです。口の中で芳醇+芳醇が合わさり、生み出される至福。ついつい、数を食べ過ぎてしまいたくなる一品です。
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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