
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第86回目】
オーセンティックな日本酒の王道を行く、しっかりとした味わいのエッセンス。それでいながら、口当たりは実に軽やかで飲み易い 。飲み飽きない。一口目から後味まで、たおやかな強弱のメリハリがありながらも非常に心地よい設計。香りが欲しいときに香り、旨味が欲しいときに旨味、終盤にかけてしなやかに伸び広がり後引く理想的な「ふくみ」の余韻。
冷酒で佳し。ぬる燗でもまた佳し。飲む人に極上の安らぎを与えてくれる、まさに食中酒の鑑とさえ言える。
その魅力は季節やシーンを選ばないが、敢えて言えば特にこの時期──少し残暑が残る初秋の夕べに飲むと、茜色から宵闇に移ろう空気のゆらぎ、匂い、撫でる音といった言外の、いわば五感をくすぐる特別な気配に満たされる。
自らもそれらの一部一体と溶け込み、調和するかのような感覚。それを先人達は、あるいは「風流」と呼んだのかも知れない。
■今月の美酒
・磐梯山 四段仕込本醸造<福島県耶麻郡磐梯町/磐梯酒造>

■勝手にペアリングを考えてみた
福島の名峰、会津磐梯山。その名を冠する酒は、民謡に歌詞として謡われた「宝の山」そのもの。オールマイティに味わえる、素晴らしい食中酒です。
そうした中で、この酒の味わいをどのような肴と合わせるべきか。個人的な印象としては、先月の「萬代芳」と同様、出汁との相性が非常に良いと感じます。この季節に合わせるならば、おでんほど冬向きではない、少し気の利いたもの。例えば、ふろふき大根のような、上品な出汁の旨味が染み込んだ肴が欲しくなります。出汁が持つ穏やかな旨味が、この酒の持つふくよかな余韻と見事に重なり合い、一口ごとに心温まるハーモニーを奏でてくれるでしょう。
また、山の酒ながら海産物との相性も良いと思われます 。ただ、あまり匂いが強い肴との合わせよりは、仄かな香りや穏やかな旨味と合わせるのがよりベター。たとえば、ソフト厚揚げなどが良いかな。海の旨味とふんわりとした食感、そしてほのかな脂の風味が、この酒の繊細な口当たりと理想的に響き合うはず 。海老せんべいなども良いかもしれない。
さらに、磐梯町の隣、猪苗代町に伝わる甘味にも思いを馳せてみました。秋らしく栗が入り、求肥と餡子の甘さが上品な「しらゆき」は、この酒の持つ穏やかな味わいと見事に調和する気がする。食後の締めくくりに、酒と共にゆっくりと味わうのも乙なもの。「風流」的なものをより深く感じられるかもしれない。
そうそう、この酒を飲む上で相性良いなと思ったのが「塩気」です。それを使うなら、たとえば蕎麦の香りと油の旨味がたまらない、只見町の「そばあられ」などが美味しいと思う。強めの塩気が、この酒を「塩で飲む」という至福の体験 へと導いてくれること請け合い。
他の肴が十分塩気が強い場合はバランスを考え避けるべきながら、箸休めとなるものを一緒に入れ込めば、塩は美味しいペアリングとなる気がします。
それでは、今月もfukunomoペアリングにいってみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・チーズウインナー<福島県田村市/株式会社ハム工房都路>
・浅漬けオクラ<福島県伊達市/有限会社八島食品>
・福島県産トマト<福島県いわき市/有限会社とまとランドいわき>
・厚揚げソフトかまぼこ(あおさ入り)<福島県いわき市/丸又蒲鉾製造有限会社>
・純米せんべい(うに)<福島県郡山市/株式会社かんの屋>
・チーズウインナー《福島県田村市/株式会社ハム工房都路》

「美味なるものには音がある」
最高のウインナーソーセージの魅力、それを実現するために不可欠となる最上級の素材を使った製品への自信を一言で表現した、言わずと知れた大手食品メーカーのソーセージの名キャッチコピーですが、このハム工房都路のチーズウインナーにも通じるところがあります。
フライパンに少しだけ水を入れ、ウインナーを茹でる。次第に水が蒸発した後には極弱火でこまめに転がしつつ、じっくりと時間をかけて滲み出た脂で、ウインナーの表面がツヤツヤになるまで炙る。
そうして焼き上がったウインナーは、文字通り口した瞬間から心が躍る逸品。磐梯山とのペアリングも絶品。パリッとした心地よい歯ごたえから、じゅわじゅわと溢れ出すジューシーな肉汁。そこに芳醇なコクとトロみを更に重ねる、チーズの贅沢な風味。絶妙な塩味。そこに本醸造「磐梯山」の軽やかな口当たりとしっかりしたコクとが重なり、溢れ出す肉汁と酒との旨味が口のなかいっぱいに絡む。これは、なんと幸福なハーモニー。なるほど蔵元さんが太鼓判を押したというのも納得の、最高の組み合わせですね!
・浅漬けオクラ《福島県伊達市/有限会社八島食品》

蔵元さんによれば、「この酒は味噌よりも塩味との合わせで真価を発揮する」とのこと。私も「勝手にペアリング」でこの酒と「塩味」の相性の良さは感じていましたが、なるほど、そこで八島食品さんの「浅漬けオクラ」をもってきた訳ですね。
このオクラは、淡い塩味と軽快な食感、オクラ特有のねばりが口の中をとろりと包み込み、お酒との優しい橋渡しをしてくれます。
塩気は強くありませんが、後から注ぐ「磐梯山」の旨味、香り、コクをも一緒に包んでまとめ、さらに引き立ててくれるでしょう。
・福島県産トマト《福島県いわき市/有限会社とまとランドいわき》

太陽の恵みを一身に浴びた、とまとランドいわきの瑞々しいトマト。そのままのフレッシュな味わいも素晴らしいですが、岩塩をひとふりするだけで、その甘みと酸味がぐっと際立ちます。トマトの鮮烈でジューシーな風味は箸休めだけではなく、本醸造「磐梯山」の持つ、奥深い旨味に程よい酸味と甘みを加え、アクセントとして楽しませてくれます。
・厚揚げソフトかまぼこ(あおさ入り)《福島県いわき市/丸又蒲鉾製造有限会社》

続いては、いわき市の丸又蒲鉾さんより「厚揚げソフトかまぼこ(あおさ入り)」です。
これは先ほどのウインナーソーセージ同様、少し時間をかけて焦がさないよう、じっくりと、香ばしく、熱々になるよう炙ってみてください。
その状態でいただくことで、厚揚げの中からじゅわっと広がる旨味と甘みが立ち、さらに余熱で温められた本醸造「磐梯山」の香りも立たせる。あおさの磯の香りが、この酒に、思わぬ海のエッセンスを加え、意外性と共に酒の魅力を一層引き立ててくれる、身も心も温まるペアリングと言えるでしょう。
・純米せんべい(うに)《福島県郡山市/株式会社かんの屋》

今回のペアリングの中でも、特に蔵元さんの心を掴んだのが、このせんべいとのこと。
うにの風味がしっかりと香るこのせんべいは、そのコクとしっとりとした食感が、本醸造「磐梯山」の中でも、特に余韻のコクと見事に重なり合います。あおさ入りの厚揚げの後だと、うに風味は一層の良さを感じられる感覚もあります。
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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