
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第82回目】
日本酒度プラス10。福島の酒としてはやや稀有と言える、研ぎ澄まされた味わい。いわゆる「辛口」と分類されるであろう酒である。
この酒の真骨頂は、その軽快な旨味と、後口のキレの鮮やかさとの見事なバランスにある。オーセンティックな「辛口」でありながら現代的な華やかさ、いわゆるシズル(sizzle)感も伴う。柔らかく喉を抜けていく後味には、福島の酒「らしさ」とも言える奥ゆかしい“ふくみ”が漂う。酸も穏やかで、洗練された余韻が心地よい。
グラスを重ねても味の輪郭は崩れず、飲むほどに魅力がにじみ出る。一見しての派手さはないが、深い洗練と奥行がある。いわば、飲み手の傍らに立つコンシェルジュのような存在と言えるかも知れない。食事の時間そのものを上質にしてくれる。
しっとりと汗ばむ梅雨の宵、グラスの向こうに立ち上るひとすじの香りが、重たい空気をスッと切り裂く。ほのかに感じるリンゴのニュアンスが、すっきりとした口当たりとともに静かに広がり、輪郭のくっきりした米の旨味がスリムなラインを描く。
まさに、この時期に相応しい銘酒。とっておきの一本と言えるだろう。
■今月の美酒
・辛口純米 蔵太鼓+10 <福島県喜多方市/喜多の華酒造場>

福島県・喜多方の地に根を張り、代々受け継がれてきた喜多の華酒造。醸すのは、雪国の凛とした空気と清らかな伏流水に育まれた──米と水、時と真摯に向き合うことで生まれる銘酒。
今回の蔵太鼓も、喜多方の清廉な自然の美しさを堪能させてくれる。雪解けの喜多方に吹くやわらかな春風のようでもある。いわゆる「辛口」でありながら、どこか温もりがある。口に含めば、キレのある清涼感の中にりんごや白桃を思わせる微香、そして米の旨味がじんわり広がる。後口には上品な余韻がやまびこのように響きわたる。
飲むたびに、まるで地元の空気や風景までもが滲み出してくるような、情緒を感じさせてくれる一本。実はプライベートでも時々買って飲んでいる銘柄でもあります。
それでは、今月も「勝手にペアリング」から始めてみます!
■勝手にペアリングを考えてみた
このキレの良さは、個人的には刺身やタタキと合わせたくなる。特に生鰹の刺身などに合わせるが良し。脂が乗りまくった、旬の入梅鰯を使った刺身などにも良い。イカ、タコ、シラス、白身や魚卵でも良い。山の酒にもかかわらず、海の幸、特に生ものとの相性がすこぶる良いのが不思議。
また、後味に残る香味と旨味を引き立ててくれるのが、同じく鼻に抜ける香味としっとりした旨味。たとえばオリーブなり、胡麻なりの油や香味を合わせると美味しさが引き立つ。あるいはそれを用いた魚介類の加工品。ハーブ系や胡椒系の香辛料や香味野菜などとの相性も良い。
その意味ではモッツァレラチーズとトマト、バジルソース、山椒、胡椒、アスパラ、セロリ、大葉、三つ葉、ネギ、あるいは胡瓜などでも合わせ易い。シャキシャキした野菜の食感との合わせも良い。油と香味という点で、以前もfukunomoに登場した大葉油揚げなども良さそう。桃との相性も良さそうながら、少し季節が早すぎるかな。
味噌、醤油などの発酵食品とも合わせやすい。複雑なコクがある肴も、雑味を綺麗にトリミングして旨味を残してくれる。酸味との相性も良い。なますなどがおすすめ。
枝豆との相性は良さそうながら、fukunomoで届けるには鮮度の問題がある。また、福島では6月は旬に早い。そこで納豆などを合わせても悪くなさそう。実際、刻みネギと共に味わってみたところ、酒に適度なまろみとネギの香味が加わって非常に美味しかった。枝豆の代わりになるし、意外と良いかもしれない。
冷奴に香味野菜を使ってあげるのも、爽やかで口直しにもなって良い。また、香味の薬味として一升漬を使うのも良いアイディアかもしれない。胡瓜や冷奴をはじめ全般的に使える万能調味料なので、これを一つ入れて、複数のおつまみに共用で使うとかも良いかな。
それでは、いよいよfukunomoペアリングに行ってみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・極熟 香味和紙包み豚味噌漬け りんご合せ味噌<福島県郡山市/株式会社鈴畜中央ミート>
・喜多方市産 アスパラガス<福島県喜多方市/あすぱらの田中>
・さしみこんにゃく からし酢みそ付<福島県石川郡古殿町/アクツフーズ株式会社>
・やわらかむすび昆布<福島県いわき市/西野屋食品株式会社>
・喜多方しょうゆラーメン<福島県喜多方市/株式会社五十嵐製麺>
・極熟 香味和紙包み豚味噌漬け りんご合せ味噌<福島県郡山市/株式会社鈴畜中央ミート>

旨味たっぷりの福島県産豚ロース肉を特製の香り高いりんご合わせ味噌と絡め、手巻きの包装紙に織り込んで熟成させた一品。
酒の醸造にも通じますが、“熟成”という時間の魔法でりんごの甘みと味噌の深みが融合し、肉の旨味をやさしく包み込むのは、まるで時間が丁寧に育てた芸術作品のよう。
炙った焼き味噌の香ばしさとジューシーな肉汁がお酒と絡み、相性の良さが際立ちますね!味噌の甘味、肉の脂や旨味という美味しさの塊という「雪」から溶け出した伏流水のように口内にわき出し、じゅわじゅわ…っと沁み渡ってきます。
酒のキレの良さ、清廉さが旨味を一層引き立て、さらに飲み飽きさせないハーモニー。これは素晴らしいですね!しみじみとした余韻と共に、ゆっくりと味わいたい一品です。
・喜多方市産 アスパラガス<福島県喜多方市/あすぱらの田中>

会津はアスパラガスの名産地として有名。旬を迎える会津喜多方の瑞々しいアスパラガスは、茹でても炒めても絶品。サラダのように使うと爽やかさと香りが立ち、サッと油と塩でソテーした後に肉と絡めてあげても良い。
朝露に濡れたばかりのような、みずみずしさをたたえた一本。噛みしめた瞬間に弾けるほのかな甘みと青い香りは、「蔵太鼓」の端正なキレと見事なコントラストを描きます。旬をまるごとかじるような感覚と、酒の清涼な喉越しが重なる一瞬は、まさに季節と出会う歓びそのものとさえ言えるものかも知れません。
・さしみこんにゃく からし酢みそ付<福島県石川郡古殿町/アクツフーズ株式会社>

今回のお酒は味噌の香味や酸味との相性が良いので、酢味噌とのペアリングもばっちり。特に、良く冷やして涼を取れば、蔵太鼓のキレの良さとも相まって梅雨空に味わうにピッタリな一皿に。
また、お好みで胡瓜と一緒に楽しんだり、茗荷や青じそ、三つ葉などの香味を合わせてみるのもおすすめ。つるりとした口当たり、ふんわりと広がる酢味噌の酸味。蒸し暑さの中で迎える瑞々しさは非常に心地良く、箸休めとアクセント、双方に効果があります。涼やかな一皿は、梅雨の晴れ間に吹く涼風のように、気持ちまでリフレッシュしてくれるはず。
・やわらかむすび昆布<福島県いわき市/西野屋食品株式会社>

fukunomo編集部によると、「今回のセットの中でも異色のおつまみ。ねっとりとコクのある昆布が、蔵太鼓と合わせると上質な出汁を感じる味わいに。蔵元曰く“なんかおめでたい味”とのこと」
なるほど、今回の酒に昆布からの旨味を溶かし込んであげると、風味に上品な奥行が増していく。澄んだ輪郭と濃厚な口当たりとが重なることで、味わいに陰影が生まれ、ゆっくりと解けていく余韻。そこにアスパラや茗荷、青じそ、三つ葉などの旬の香味と昆布出汁とが合わさり、ハレの日の祝膳、懐石料理で愉しむかのような風流さえ感じさせてくれる。
・喜多方しょうゆラーメン<福島県喜多方市/株式会社五十嵐製麺>

喜多方と言えば言わずと知れた「喜多方ラーメン」。福島の地の名産を届けるfukunomoならではのチョイスと言えるでしょう。
ラーメンはお酒の〆として定番ですが、今回fukunomo編集部によると「〆と思われ勝ちですが、ぜひツマミとして!」とのこと。
喜多方の味噌、醤油、だしの味を知りつくした老舗である五十嵐製麺さんの製麺技術の高さを感じさせる良質な小麦の素材感、先ほどの昆布とはまた異なる趣向の出汁の旨味。
ラーメンの湯気が立ちのぼる中、ふわりと香るスープの出汁に心がほどける。ひと口すすると、出汁や小麦の香りとともに、口内で温められた酒もまろやかに変化して別の表情を見せてくれる。なるほど、〆として単独には終わらせるにはもったいない、立派な“酒の相棒”。「ペアリング」としても十分楽しめますね。実に美味しい。
今月も、ご馳走様でした!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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