
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第81回目】
「会津のよさは酒の良さ」──。会津清酒「花春」のキャッチフレーズには、古くから福島に暮らす大人達には馴染み深い懐かしさがある。香り優しく、口当たりやわらか。きれいな味わいと喉越しの良さ。身体の芯から、隅々にまで。「飲むほどに」「酔うほどに」穏やかな寛ぎ、陶酔に誘われる。
「完璧なる調和」と言いたくなる絶妙のバランス感。これこそが、福島の酒の王道的な魅力。それを存分に堪能させてくれる酒蔵と言える。
花春の酒は、古くから福島の暮らし折々を彩ってきた。
酒を覚えたての若き日、地元の友人たちとの語らいの場には花春があった。
酌み交わすほど、心からの旨い!を分かち合えた。
門出の祝宴にも、花春があった。
老いも若きもが集う佳き日を彩った。
常に我々と共にあり、愛され続けた身近な蔵元。その酒を他県の方々と分かち合えるのは、文字通り「同じ釜の飯を食う」感覚でさえある。
■今月の美酒
・会津のにごり 純米吟醸 <福島県会津若松市/花春酒造>

福島でおなじみの花春酒造。今回は少し変わり種とも言えるにごり酒の登場です。
にごり酒ならではの、実にまろやかなで芳醇な口当たり。とっぷりと濃厚な白が印象的。その一方で、精米歩合55%という吟醸酒の位にまで削ったことで、味わいは洗練されて雑味が無い。このギャップが面白い。
そのまま飲んでも口当たり良くスルスルと飲めてしまうが、僅かに炭酸水を入れてみるのもおすすめ。口当たりがさらに良くなる上、鼻に抜ける吟醸を感じさせる香味がより際立つようになる。甘さを抑えたカルピスソーダのような気配。アルコール度数が薄まる上に単純に飲める量は増えるので、長く楽しめるようになる。
■勝手にペアリングを考えてみた
おつまみは、個人的にはぜひ洋を合わせたいね。ナチュラルチーズ、オリーブオイル、ナッツなど。それらの香味や口当たりが炭酸のしゅわしゅわしたスパークル感と相まって、上品に立ち昇る感覚になる。ストレートで飲む場合、酒の中に香味が溶け込んで合わさり強調される。
この感じを楽しむには、白身魚のポワレや生ハムスライスなども良い。時節柄、会津アスパラを使った料理なども良いと思う。
あるいは別方向に趣向を変えて、エキゾチックさを感じさせるスパイスなどの香辛料も良い。試しに手元にあったカルダモンやクミンの香味と合わせたところ、一気にラッシーのような爽やかさに変わった。
このお酒は、日本酒でありながらインド・ネパールカレー屋のレギュラーアルコールメニューにするべきと思えるくらいに、とりわけカルダモンに合う。ペアリングにビリヤニやタンドーリチキンを合わせたくなるくらいかもしれない。「カレーに合う日本酒」とさえ言えるかも知れない。
これ、いわき市の老舗魚屋「おのざき」さんのオリジナルカレー缶詰に合わせたくなってくるなあ。最近社長に就任したばかりの若き4代目小野崎さんは、本気でスパイスカレー店をオープンさせる準備をしていたほどなので、常磐ものを使ったカレーも絶品なのです。
和に合わせるなら、甘めの味噌や豆類。みそピーとストレートの酒を合わせたら、芳醇さが共鳴して絶妙に美味しかった。おくやの豆を合わせるか、胡桃餡の類か。あるいは南相馬市の香の蔵さんから何かを合わせても良い。地域の名産でいくと会津の鬼胡桃なども、素朴な味わいをこの芳醇さが包み込んで美味しくなるかもしれない。
その他、甘味や香味とは合うので、花豆とか柴漬けなどもよさそうかな。
それでは今回もfukunomoペアリングにいってみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・カナガシラのアヒージョ<福島県いわき市/福島県漁業協同組合連合会>
・福島県産 スナップエンドウ<会津若松市/JA会津よつば>
・ななはまの詩 ごま油香るにら・あさり<福島県いわき市/夕月>
・味付 さとまるく〜ん<伊達市/山吉青果食品>
・ぬれ花豆<小野町/渡久製菓>
・カナガシラのアヒージョ<福島県いわき市/福島県漁業協同組合連合会>

福島・常磐沖の海で豊富に獲れる「カナガシラ」は、白身魚の中でもとりわけ上品かつ旨味たっぷりの魚です。近年、注目され始めている魚種のひとつですが、小ぶりで可食部が少なく、「カナガシラ(金頭)」の名前の通りに堅い頭を持つため捌くのも手間暇がかかり(その分、出汁を取ると最高に旨いものの)、まだまだ食卓では珍しい存在かもしれません。
そんなカナガシラを贅沢に使用したアヒージョは、ひと口食べると、その繊細でふくよかな旨みがオリーブオイルとともにじゅわっと口の中に広がります。身はやわらかく、それでいて崩れすぎず、しっとりとした食感が楽しめます。
ここに「会津のにごり」を合わせれば、和洋折衷のフュージョン料理のような感覚に。にごり酒の優しい甘さとコクがありつつ透明感ある口当たりに、アヒージョのオイル感と魚の旨味がすっと溶け込み、より味わい深くなります。余ったオイルには、旬の野菜やきのこを加えてもよし、茹でたパスタと和えれば、もう一皿のお楽しみが生まれます。
最後の一滴まで美味しくいただけるアヒージョは、週末の夜に小さなご褒美を与えてくれる贅沢な一品です。
・福島県産 スナップエンドウ<会津若松市/JA会津よつば>

春を告げる野菜の代表格とも言える「スナップエンドウ」。その鮮やかな緑、ぷっくりとしたさやのフォルム、そして何より、噛んだ瞬間に広がるみずみずしい甘さが魅力です。
さっと茹でて、粗塩をひとつまみ。たったそれだけで、福島でのびのびと育った野菜の甘みと歯ごたえが際立ちます。
花春のやわらかな乳白色の甘さにスナップえんどうの春の甘さが加わると、不思議と懐かしいような、でも新しいような感覚が生まれます。にごりのまろやかさが舌に残る中でシャキシャキとした歯ざわりと甘みがアクセントとなり、飲むたび、つまむたびに心がふっと緩むような気持ちに。季節を味わう一杯は、贅沢そのもの。穏やかな春の時間を、静かに祝福してくれるようなペアリングです。
・ななはまの詩 ごま油香るにら・あさり<福島県いわき市/夕月>

ふわっと香るごま油に、シャキッとしたにらの風味、そして後からじんわりと広がるあさりの旨み…。このひと口の中で展開される“味のリレー”が、なんとも楽しい一品です。中華風のようでいて、魚の練り物ならではの優しい味わいも感じられる。
ここに花春を合わせると、揚げかまぼこの油分をまろやかに包み込みながら、あさりの貝だしの旨みをしっかりと受け止めてくれます。食べ進めるごとに感じる風味の変化は、まるで一皿で小さな物語を読んでいるよう。飽きのこない、でもほっとする、そんな絶妙なペアリングです。冷たいにごりをくいっとひと口、揚げかまぼこをもうひと口。特に、軽く炙ってあげると口の中で立つ旨味や香りも一際になります。
交互に楽しむうちに、お酒の盃が自然と進んでしまう組み合わせと言えますね。
・味付 さとまるく〜ん<伊達市/山吉青果食品>

山吉さんの「味付 さとまるく〜ん」は、日本に育った人が感じるどことない懐かしさを非常に丁寧に再現にしたような一品です。出汁がしっかりと染み込んだ里芋が、外はやわらかく、中はしっかりとした食感を保ったまま、絶妙な煮加減で仕上げられています。
ふわりと香るかつおや昆布の風味、そして口の中でしっとり崩れる食感。花春のにごりと合わせると、里芋のなめらかな舌触りが、酒のとろみと不思議なほどよく重なります。
派手さはありませんが、実に心に深く染み込んでくるような組み合わせです。疲れた夜、何も考えずにこの二つを味わえば、きっと心がほどけていく幸せな瞬間を演出してくれること請け合いです。
・ぬれ花豆<小野町/渡久製菓>

福島の阿武隈山系・「リカちゃんキャッスル」でも有名な小野町にある老舗・渡久製菓さんが丁寧に作り上げた「ぬれ花豆」。
一粒一粒がまるで宝石のように輝く大粒の花豆は、ほっくりと柔らかい食感と甘さ控えめながら深いコクを感じさせる一品、一粒でスイーツのように満足感のある味わいです。
花豆特有のやさしい甘みと香りが、噛みしめるごとに広がっていくその時間は、まさに“和のおやつ”をペアリングの肴として合わせる真骨頂とも言えるでしょう。
ここに花春の「にごり酒」を合わせれば、それはまるで上品な和菓子と白酒のペアリングのよう。季節外れですが、雛祭りのような感覚かも知れません。
酒のふんわりとした米の甘さが花豆の素朴な甘みを包み込み、舌の上でふんわり、じっくりとほどけていきます。少しずつ味わいながら、余韻を静かに味わえる。「甘いものはちょっと苦手…」という方にもぜひ試していただきたい、ほっとする優しい甘さがあります。
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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