余韻は長く芳醇。静かに陽光を寫(うつ)し照らす煌めき。(2024年6月|金水晶酒造) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

余韻は長く芳醇。静かに陽光を寫(うつ)し照らす煌めき。(2024年6月|金水晶酒造)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第70回目】

「煌めきの酒」──。

この酒蔵を評するとき、私はそんな言葉をよく使う。

金水晶は、県都福島市に唯一残る造り酒屋。その名は、かつて地元で栄えた金山及び近くの「水晶沢」に由来している。

不思議なことに、その味もまた、名を顕すかのような華やかさを感じさせる。

輝きある透明感ある口当たりは、正に水晶を想起させる美しさ。続き、「福島の酒」らしさと謳われる、ふくよかな旨味と「香気」と呼ぶべき穏やかな風味。

ほどなくして、文字通り「持ち味」というべき、深部に秘められた力強いコクと旨味がじわじわと、グラデーション状に広がっていく。

余韻は長く芳醇。静かに陽光を寫(うつ)し照らす煌めき。

華美絢爛な洗練に圧倒されつつ、碧空の爽颯が揺らす黄金波(こがねなみ)を臨むにも似た、晴れやかな気配と心持ちをも同時に与えてくれる。

心満意足、というべきだろうか。
飲めば色褪せがちな日常に彩を与え、心なしか前向きにしてくれる酒でもある。

福島に、県都に、無二の金水晶あり。
その身に煌めきを宿した、まさに貴石のように稀有な酒である。

■今月の美酒

・金水晶 特別純米<福島県福島市/金水晶酒造>

金水晶は、私が特に好きな酒蔵の一つ。
プライベートでも「むろか生」などを中心に、良く飲む銘柄です。

福島の酒「らしさ」がありつつも、県内他の地域の酒とは明らかに個性が違う。ずっと守り続けたい、大事な存在です。

ここのお酒、もちろん単品で飲んでも美味しいものの、特にペアリングによって輝く魅力が印象深いお酒です。
いわゆる「最高の食中酒」というやつですね。

様々な肴と合わせて美味しく、これまでのfukunomo登場回でも郷土料理「いかにんじん」をはじめとした幅広い料理と合わせられてきたものの。
私個人としては、特に「肉には金水晶!」、より正確には「肉汁には金水晶!」をぜひお薦めしたいところです。

まず水晶のように透明感がありつつ少し艶と輝きを感じさせる口当たりが、肉や脂の重厚感を柔らかく緩和する。

ところがここの酒、とろみにも似たまろやかさがあるので、肴の味を弾くのではなく親和的に引き寄せ、軽やかに心地良く迎え入れてくれる。
このやりとりが、飲み口が、実に小気味良い。

続いて酒が持つ柔らかな香気を楽しみつつ、実はここからが本番。

後味と余韻にジワジワと広がりはじめる、コクと旨味のグラデーション…これが口内に残された肉汁の旨味と絡み合いはじめた瞬間!
それらが融合し、静的な煌めきから、一気に爆発的な閃光に変わる。
すさまじいほどの旨味が広がる。

金水晶の酒は、いわば肉汁倍増装置。

もぎたての果実を丸かじりしたかのようにほとばしる、瑞々しくジューシーな旨味。
足し算というよりも掛け算。

たとえば肉汁滴る餃子や焼鳥、他に小籠包などに合わせたりしたら最高です。
あとは、とろける系のチャーシューとか。

その他、これからの季節ならキャンプやバーベキューに持ち込むのもおすすめ。(この間持ち込んだら、とても喜ばれました)

今回のfukunomoでは、そんな金水晶の中でも特に綺麗めでバランスが整った「特別純米」。
この1本なら、肉はもちろん、それ以外の他の様々な食材とも合いそうな予感がします。

と言う訳で今回、<勝手にペアリング>コーナーでは最初に色々試したり、相性を考えたりしてみました!

勝手にペアリングを考えてみた

《フライドチキン》
最初は、やはり王道の肉から。手元にフライドチキンがあったので早速試してみました。

肉汁、スパイス、これらをちゃんといなして旨味に変えてしまうのは流石。金水晶は、その口の中に残る余韻が肴の「旨味」と重なり合うことで、食材をさらに美味しくしてしまう特性がかなり強い。改めて実感させられますね。

《焼き魚》
いわき市の「銀座伴助の赤魚干物」があったので、試してみた。
魚の脂とも相性良いね。特に今回の特別純米には一層それを感じさせてくれる。

《ニシン菜の花》
同じくニシン菜の花を合わせてみたけど、酢の物、ニシン、いずれの旨味にもしっかり合わせてくれる。
数の子も使われていたけど、魚卵もいける。

《油揚げ》
三春の油揚げを合わせてみると、やはりこのお酒は油との相性がすこぶる良いというのを改めて実感。

軽く炙って、少し熱々がのこる香ばしさと一緒にジュワジュワと口の中で広がる旨味。
三春の油揚げ、あるいは会津天宝の「大葉みそ漬油揚」などもすごく合いそう。

《調味料系との相性》
今、大葉味噌を例に出したけど、食材にダイナミックな旨味を付与してくれるこの酒は、もはや出汁の一種。「調味料」として考えてあげて良いと思う。

その意味では、味噌に加えることで味に深みが出るし、醤油系と合わせても良い。
(しばしば、いかにんじんと合わせてきたのだから当然と言えば当然かも)

あと、スパイス系との掛け合わせでも意外な発見があるかも知れない。カレーと合わせても良いよね。

《桃との相性》
まだ季節じゃないので試せなかったけど、「ほとばしる瑞々しさやジューシーな旨みを感じさせる」と言えば、桃の魅力もそれにあたる。

福島市は桃の産地としても有名。
さらに、金水晶さん自身も桃リキュールを数種類出していたはず。

6月号は、季節としては丁度桃の季節を間近にしたタイミング。ここは、若桃の甘露煮なんかを合わせても良いかな?と思える。

《太陽堂のむぎせんべい》
福島市が誇る、素朴ながらも実は根強いファンが多い銘菓。
実は私も大好物です。

せっかく福島市のお酒なので、これを入れてあげたいとも思える。
カナッペみたいにも使えるので、チーズ系と合わせても良い。
キャラクターの「日向こむぎちゃん」もめんこい。

それにしてもこの特別純米、ペアリングの守備範囲が本当に広いと思う。
やはり、「最高の食中酒」の一つ。

外食産業さんは、金水晶を積極的にメニューに入れた方がいいとつくづく思うね。
それぞれのお店ご自慢のメニューの潜在力を、さらに引き出してくれる感じ。

では、次はいよいよfukunomoペアリングを試してみましょう!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・しののめ食品の餃子
 <福島県福島市/株式会社しののめ食品>

・福島県産 ピーマン
 <福島県会津若松市/JA会津よつば 農産物直売所まんま~じゃ>

・肉じゃが
 <福島県いわき市/小泉食品株式会社泉工場>

・まぐろの浅炊き
 <福島県いわき市/小泉食品株式会社泉工場>

・福島銘菓 いもくり佐太郎
 <福島県福島市/株式会社ダイオー>

・しののめ食品の餃子 <福島県福島市/株式会社しののめ食品>
・福島県産 ピーマン <福島県会津若松市/JA会津よつば 農産物直売所まんま~じゃ>

まずは王道の餃子から。
「しののめ食品」は、福島市の名物「円盤餃子」が全国区で有名になるよりずっと前、50年以上前から福島市内で餃子や餃子の皮販売を手掛けてきた老舗。

同じ福島市の老舗コラボとして、実によいペアリングですね!

こちらの餃子と、福島県産ピーマンも一緒に炒めてしまいましょう。(それぞれの火の通り加減の調整に気を付けつつ)

そして満を持して「金水晶」と合わせてみると、おお・・・これこれ。
お肉の旨味と肉汁、そして香味野菜の風味までもが合わさって、よりジューシーな味わいに!肉汁滴る、イイつまみです。

そこに重なる、旬のピーマンの瑞々しさ。次いで僅かな甘み、ほろ苦さが加わる。これが割と良い感じのアクセントに。

さらにお好み次第ですが、手元に用意していた酢胡椒をタレとして餃子に使うことで、甘み、旨味、苦みに加えて酸味と胡椒の風味までもが加わる。
ラー油も使えば、辛味まで楽しめます。

かなり賑やかになりましたが、このダイナミックさをまとめてギュッと抱擁して、とにかく美味しくしてしまう懐の広さが「金水晶」の魅力なんです。

・肉じゃが <福島県いわき市/小泉食品株式会社泉工場>

続いては、いわき市の小泉食品から「肉じゃが」。
家庭の味的なイメージがある肉じゃがですが、ここはさすが、プロの製品。ほっこりしていながらも、どこか瀟洒な風味を感じます。

これは、「金水晶」が透明感ありながら水晶のような輝きとまろやかさを感じさせる、という点とも共通。

牛肉の旨味がしみ込んだ具材に、上品な甘みと香り漂う逸品。
同じ「肉には金水晶」でありつつ、また別の魅力を感じさせるペアリングです。

・まぐろの浅炊き <福島県いわき市/小泉食品株式会社泉工場>

さらに、同じいわき市の小泉食品から、こちらは魚のおつまみ。
まぐろの浅炊きです。

甘めで優しい、とろみのある味付けと強い生姜の香ばしさ、そしてやわらかな身のほぐれる食感。

今回のお酒は、肉だけでなく魚に対しても、一口目の口当たりからの旨味増幅まで良い感じにハマります。
特に、この酒の吟醸香の華やかさがアクセントのように作用し、味にメリハリも付く。

これは、温かい漬け汁を出汁割りにしてもいいですね。
ほのかに温められたお酒から、さらに柔らかな旨味が引き出される。
実に美味しい!

・福島銘菓 いもくり佐太郎 <福島県福島市/株式会社ダイオー>

〆は福島市の銘菓「いもくり佐太郎」。
最近はお土産品としても大人気の和風のスイートポテトで、ほろりとほぐれる口どけがたまりません。

癖になる悪魔的な美味しさからリピーターも多く、熱心なファンは俗に「佐太(サタ)ニスト」と呼ばれます。

佐太郎のバターの香り漂う甘みがお酒と交わることで、風味がより優しくなるイメージ。
お酒も佐太郎も、それぞれが沁み入るかのようにじんわり楽しめます。

お酒の「心満意足」感を一層高めてくれる、〆として申し分ない一品ですね。今月も、ごちそうさまでした!


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