一口含むたび、一本のマッチを灯したような夢見心地に微睡む。肴を合わせ、杯が進み、会話が弾むほどに灯され、多幸感で包まれていく。(2024年2月|大谷忠吉本店) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

一口含むたび、一本のマッチを灯したような夢見心地に微睡む。肴を合わせ、杯が進み、会話が弾むほどに灯され、多幸感で包まれていく。(2024年2月|大谷忠吉本店)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第66回目】

少し熟れかけてきたメロンのような、まだ引き締まった爽やかさと芳醇な甘さが絶妙に混じり合った風味。ジューシーな味の含み、ふくらみが口の中で綺麗に残る。
乾杯の一口目から食事とのペアリングまで、一気に引き込むインパクト。瞬発力。素朴ながらも丁寧に造り込まれたその設計が、酔いとは別の心地良さを感じさせてくれる。どことなく、気持ちを前向きにしてくれるかのような味わいがある。

ああ、この魅力的な酒をどうやって楽しみ尽くしてくれようか。
あれと合わせたら絶対美味しい。これと合わせたらどんな表情を見せてくれるか。あの人に飲ませたら何と言ってくれるだろう──。期待感。高揚感。とりどりの言葉とイメージが駆け巡る。脳裏に次々と「物語」が生まれてくる感覚。

マッチ売りの少女、などと喩えたら笑ってしまうだろうか。一口含むたび、一本のマッチを灯したような夢見心地に微睡む。肴を合わせ、杯が進み、会話が弾むほどに灯され、多幸感で包まれていく。

■今月の美酒

・登龍 特別純米 生原酒 <福島県白河市/大谷忠吉本店>

一本の酒には、手元に届くまでに様々な「物語」がある。
特に大谷忠吉本店の酒は造られる量が極めて限られる、まさに知る人ぞ知る、入手困難な白河の地酒だ。必然的に、素材、水、そして人にこだわり丁寧に醸されたそれぞれには、相応の強い想いが込められている。この決して大きいとは言えない酒蔵が醸すのは、それらの集大成。かけがえなき一本とさえ言える。

造り手の「物語」が飲み手に渡り、新たな「物語」が紡がれる。人々の心に忘れられないひとときを灯す。このような味わいこそ、銘酒が銘酒と呼ばれる所以なのかも知れない。

一部では地酒中の地酒と称され、愛好家垂涎の大谷忠吉本店さんの「登龍」。福島県に出かけても、一部の限られた場所でしか手に入らない銘酒。その風味は、食前酒に相応しい上品な甘味と香りがありながら、飲み終わったあとの「もう少し飲みたい」と思わせる名残惜しさが強い。流石の味わいです。 これが普通に届いてしまうfukunomo、改めて凄い。早速、今回も色んなペアリングを考えてみましょう。

勝手にペアリングを考えてみた

この子、割と何にでも合わせやすいオールマイティさが魅力だと思うけれど、ここは特に優秀なアペリティフ(食前酒)が引き込んでくれる美味しい食事とのペアリングの世界を素直に堪能したくなる。
まず頭を過ぎったのは、「最高のアペリティフ」の世界的代名詞とも言えるシャンパンを楽しむときのようなワクワク感。あれをやりたい。きっと、さらに幸せ一杯の気持ちになるに違いない。

美味しいシャンパンは、不思議と香ばしいトーストのような香りが楽しめる。
そこで、この酒にそのエッセンスを足すイメージで少しこんがり香ばしく焼いたトーストのような味わいを合わせてみたら面白そう。そこに、香り高いブルーチーズなどを合わせてあげたら最高な予感がするので、同じ白河のステラフーズのピザ、特に「クアトロフォルマッジ」あたりとかが美味しいかも?

あとは、コース料理のメインを待つような感覚で肉料理と合わせたら美味しそう。牛ローストビーフとか上等な鶏肉も美味しいよね。というか実際合わせてみたら美味しかった。今回は鶏のボンジリ軟骨に岩塩とガーリック、黒胡椒で香ばしく炙ったものを肴にしてみたのだけど、肉汁の旨味がさらに芳醇に、胡椒とガーリックの香りも立つのは流石という感じ。優秀なアペリティフであり、食中酒でもある。

野菜のフリットなどが合わせたら美味しそうにも思えるので、平田村の「ごぼ~のチップス」、特にガーリック味などが合わさると良さそう。

箸休めには、少し気の利いたような洋風エッセンスのあるピクルスを合わせたら面白そうかな?

最後に、甘味は何が良いかな?と思いつつも、ここは白河ということで松平定信公に献上されていたという伝統菓子「おきな餅」などを合わせてみたらどうかな。
素朴な味ながらも、他の食材が少し味強めで提案したので、〆として素材感を生かしたこういうのも面白いし、他県の人が知らない福島の文化を楽しんでもらえるかなと。
もしくは、『大黒屋の「だるま最中」』とかもインパクトあって良いかも?

それでは引き続き、fukunomoペアリングの実食に入っていきましょう!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・白河高原清流豚 豚ロース味噌漬け
 <福島県白河市/肉の秋元本店>

・バジル de 青豆
 <福島県棚倉町/叶や豆冨 大椙食品>

・福島県産 トマト
 <いわき市/とまとランドいわき>

・おナス入り 金山寺みそ
 <福島県郡山市/株式会社宝来屋本店>

・数の子入り 竹の子山くらげ
 <福島県いわき市/西野屋食品>

・白河高原清流豚 豚ロース味噌漬け <福島県白河市/肉の秋元本店>

肉の秋元本店!
来ました。白河で口々に名店として名前が挙がるお肉屋さんですね。実はずっと食べてみたいと思いつつ、機会に恵まれずにいました。今回、fukunomoで送られてきたのが本当に嬉しい。早速、頂いてみます。

このお肉をフライパンでじっくり炙ると、少しだけ焦がした味噌の香ばしさと豚肉の脂のみならず、肉全体から溢れ出す旨味がジューシーで、実に美味しいですね。お肉自体も理想的な熟成をしている感がある。これは噂に違わぬ、流石の味わい。

これを「登龍」と合わせると、お酒の酸味が心地良いアクセントになりつつ、旨味が溢れんばかりにお酒に溶け込んできてさらに美味しく、さらにジューシーになる。味噌の香ばしさとお酒の香味とのハーモニーも素晴らしい。非常に美味しいペアリングですね。白河名物をこんな形で楽しめるなんて、やはりfukunomoをやっててよかった!

・バジル de 青豆 <福島県棚倉町/叶や豆冨 大椙食品>

・福島県産 トマト <いわき市/とまとランドいわき>

・おナス入り 金山寺みそ <福島県郡山市/株式会社宝来屋本店>

続いては、「バジル de 青豆」と「大玉トマト」、「金山寺みそ」 の3点。
なぜ一気に3点を並べたか。それは、これら3つを是非同時に食べて頂きたいからです!
青豆豆腐のバジル、トマト、そして麦味噌風味の茄子のトリプルペアリング。
最初にバジル特有の香味が薫り、そこに麦味噌由来の強い旨味で漬け込まれた茄子と、小気味良い粒感、食感が味わえる麦。この麦が入ってるのがアクセントとしても秀逸ですね。
更に、そこにトマトのジューシーさが加わる。それはもう、和のエッセンスを加えた創作イタリアン料理。実に意外性ある旨味を楽しませてくれる一皿。なるほど、これはイタリアのスプマンテ(スパークリングワイン)と合わせても絶対美味しいに違いない。「登龍」が持つ「高揚感」を受け止めるのに、とても良いペアリングだと思う。

さらに特筆すべきは、この豆腐が整えてくれるバランス。
豆腐自体にも青豆由来の豊かな旨味と香味がありながら、箸休めも兼ねる清涼感が強い。他の塩気と旨味が強いおつまみ──それこそ、先ほどの豚肉も含め、おかずに合わせる白米のように、それぞれの魅力を仲介して上手くまとめてくれる。旨味がありつつ、塩辛過ぎず、喉越しも実に爽やか。いや、これは本当に美味しい!

・数の子入り 竹の子山くらげ <福島県いわき市/西野屋食品>

そして中々の秘蔵っ子的な珍味だったのが、この西野屋食品の「竹の子山くらげ」。
日テレのZIP!(2023年6月28日放送「水卜あさ美と一緒にあさごはん」)で紹介されたこともある 、今、ひそかに人気を集めている福島のおつまみです。
やはりポイントは、竹の子と山くらげ、きくらげのコリコリとした食感のハーモニー。そこに、プチプチとした数の子も加わる。味付けはかつお醤油風味で、酒の肴から華やかなおせち料理の一品、ご飯のおかずにまでピッタリ!

これを「登龍」と合わせると、まずはやはり、この食感の心地良さが際立つ。さらに旨味と塩気もお酒をどんどん進めてくれる。先ほどのイタリアン風味と意趣を変えた、和の風味を堪能できて、これまた実に美味しい。
それにしても、fukunomoは最近注目を集め始めた肴もいち早く取り入れてしまうあたり、福島のローカルな流行にも敏感ですね。県外でそれを楽しめるのは、やはり大きな魅力と言えるでしょう。

今月も、ご馳走様でした!


今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。

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