特筆すべきは、これだけ「動的」でありながら、全体としては洗練されたバランスを醸し出していることだ(2023年6月|豊國酒造合資会社) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

特筆すべきは、これだけ「動的」でありながら、全体としては洗練されたバランスを醸し出していることだ(2023年6月|豊國酒造合資会社)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第58回目】

会津坂下(あいづばんげ)は、発酵の文化が深く根差した町だ。

決して大きな町ではないにも関わらず、通りには古くからの味噌や醤油の醸造元が軒を連ねる。それらが醸す品の中には国内最高の名誉といえる農林水産大臣賞の栄誉を受けたものまである。
当然、発酵食品の一つである日本酒の質も極めて高い。「飛露喜」で知られる廣木酒造本店、「天明」の曙酒造 、そして「豊国」を醸す今回の豊国酒造。国内外数々の栄誉を幾度も受けてきた三蔵が全て同じ町内の同じ通り、徒歩圏内にある。

そんな会津坂下町から今回届いた豊国の酒は、純米酒「袋取り」

酒母、糀、蒸米などが混じり合った醪(もろみ)から酒を搾る際、酒袋を用いて出来る限り圧力を掛けずゆっくりと日本酒を抽出した、本来持っているポテンシャル、芳醇な香りと旨味を最もピュアな状態で最大限に引き出した一本。

まず一口含むと、青林檎に似たやや強めの酸味と躍動感ある香味が口いっぱいに溢れ出す。ふつう蔵人以外は滅多に味わえない「搾りたて」をそのまま開封の瞬間まで閉じ込めたかのような風味は、まさに「袋取り」ならではと言えよう。林檎に喩えれば、もぎたての果実をその場ですりおろし、丁寧に布で濾したかのような趣さえある。

さらに特筆すべきは、これだけ「動的」でありながら、全体としては洗練されたバランスを醸し出していることだ。上品で控え目な甘さと旨味が想像を超えるレベルで「動」を包括し、一本の瓶に封じ込められている。酒としての完成度が極めて高い。。
それはまるで、葛飾北斎が「富嶽三十六景神奈川沖浪裏」で一枚の絵に落とし込んだ圧倒的な白波の躍動感。あるいは隣県、山形県の最上川を詠んだ「五月雨(さみだれ)を集めて早し最上川(奥の細道・松尾芭蕉)」 にも通じるというべきか。「動」をここまで洗練・調和させた味わいは、もはや芸術的でさえある。

何より、酒としても極めて美味で、後味に残される一抹の清涼感と高揚感もまた素晴らしい。一口目の鮮烈な香味や酸味と相まって、鬱屈感を吹き飛ばしてくれるかのような、形容しがたい晴れやかな気持ちにさせてくれる。梅雨空が続くこの時期には、特に相応しい一本と言えるだろう。

■今月の美酒

・純米酒 袋取り 豊國《fukunomoラベル》 <福島県河沼郡会津坂下町/豊國酒造合資会社>

熟れたフルーツのような柔らかい甘味を楽しめる一本。
旨味も豊かで様々なお料理に合います。
冷酒から常温まで、温度帯を変えても面白いです。

勝手にペアリングを考えてみた

今月も、最初は先入観無しでお酒を飲んでペアリングを考えてみましょう。

このお酒、本当に「もぎたての林檎をすりおろし、丁寧に布で濾したような風味」というのがしっくりくる。あまりにも「林檎」感が強いので、メインディッシュ以前に初っ端から、これ林檎とペアリングさせたら絶対美味しいにきまってるよね??となってる。それこそアップルパイとかそういうのでも良い。福島市あたりの林檎を使った王道スイーツをデザートに合わせたら最高じゃないかな??

口の中で弾けるような芳醇な果実味と強い酸味、ほのかな糀風味。これは当然、肉に極めて合いやすい。なかでも特に、プリっと旨味が弾けるぷりっぷりの上等なソーセージとの相性が良いかも知れない。「旨味と合う」というより、「旨味と香りが瞬間的に、一気に弾ける」のがポイント。林檎を丸かじりしたときに弾ける瞬間的なフレッシュさ的なイメージ。おつまみにも、そういうのを求めたい。

魚介類はどうかな?と思いつつ、手元にあったイカキムチとも合わせてみたらとても良かった。まろやかな旨味強めのキムチとの相性はかなり良さそう。というか、おそらくこれは発酵食品全般と相性良さそうだね。流石、発酵の町会津坂下の酒。
ここ毎月と似た感想になってしまうけれど。その意味では、会津坂下が得意とする味噌醤油系も全般合うと思う。

ただ、発酵系でキムチが合うとは言っても前に頂いた干しリンゴキムチにしてしまうと「林檎の弾けるフレッシュ感」を演出したい意図とは少しずれるので、ここで林檎を使ってしまうのは少し勿体ない。もちろん合わなくはないけど、敢えてキムチで林檎を合わせなくても良い。
林檎は王道の甘さとか香りを生かした別のものにして、それとは別に何かキムチを入れるのが良いかも。この酒は、甘辛さある旨味との相性がとても良い。キムチも、乾物系のキムチというよりはフレッシュ感あるものが良いな。

このイカキムチと合わせて感じたのが、胡麻との合わせの妙。ペアリング全体のアクセントとして胡麻の風味はかなり良さそう。福島らしさにこだわるなら、敢えてあぶくま山系名物の荏胡麻を使うというのもありかもしれない。胡麻や荏胡麻の香ばしさを取り入れるときっと面白くなるよ。

キムチにさえ合うくらいなので、当然チーズとの相性はとても良い。特にブルーチーズがとても合うと思う。他にはウォッシュ系とかヤギ系チーズとか。クセが強いチーズこそ、そのとても美味しくなるかもしれない。福島でそれを揃えるのは難しいかもだけど。

ナッツ系は言うまでも無く合う。特に胡桃は最高。独特の香りやクセ、ほのかな苦味があると良いよね。会津に地物の胡桃加工品とかないものだろうか?
燻製はどうかなあ?多分、良い感じになりそうだと思えるけれども。燻製ナッツ合わせてみたら美味しいかも知れないよね。

これ前回と被るかもだけど、この旨味と香りの弾け具合には原木椎茸、あるいはポルチーニなどを合わせたいなあ。香り豊かなキノコの少し不思議な香味を合わせたらとても良いペアリングになるはず。ポルチーニ風味のオイル系パスタとか絶対合うよ。
飲んでるうちに、原木椎茸のスライスを炙ったのとか食べたくなってきました。

なお遅れ馳せながら、「一気に旨味がはじける」点ではソーセージ以外に餃子というのも良いかも知れない。福島市の円盤餃子とか、そういうの。口に含んでカリっとした瞬間に弾ける!というのが、この酒のペアリングを生かすのには最高。

ちなみにこのお酒、いろいろ言ったけど結局は林檎酒「シードル」に合うおつまみを合わせると大体間違いない気もします。蜂蜜とか。サワークリームとかも良さそう。

と、今回もお酒が美味し過ぎたせいで妄想が捗ったところで、いよいよfukunomoセットの実食にうつります!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・ブラートヴルスト
 <福島県西白河郡泉崎村/豚肉専門店ノーベル>

・クワトロフォルマッジ
 <福島県白河市/株式会社ステラフーズ>

・デリカトマト
 <福島県伊達市/有限会社八島食品>

・ふきのとうしょうゆ
 <福島県南会津郡南会津町/株式会社会津物産>

・しろべこ農園のきゅうり
 <福島県河沼郡会津坂下町/しろべこ農園・佐藤裕司さん>

・ブラートヴルスト <福島県西白河郡泉崎村/豚肉専門店ノーベル>

今回のメインディッシュは、fukunomoではもうお馴染みの豚肉専門店ノーベルから、豚肉ソーセージの「ブラートヴルスト」。旨味がたっぷりの本格ソーセージです。

これは良いですね! 勝手にペアリングコーナーで妄想してたように、お酒の鮮烈かつ弾けるような香りと旨味に、ソーセージの瞬間的「旨味が弾ける」瞬間をぶつける。これによって、方向性が異なる双方の香りと旨味が上手く重なり、さらに引き立て合う。ハーブの香りも良いアクセントになって、実に美味しいペアリングです。

・クワトロフォルマッジ <福島県白河市/株式会社ステラフーズ>

続いては、ステラフーズよりクアトロフォルマッジ(4種のチーズ)ピザ。
fukunomoコメントによると、「ナチュラルチーズたっぷりのせたピザ。モッツァレラも併せてみて美味しかったのですが、圧倒的な旨味が豊国の爽やかさを開かせます」「蔵元も食べた瞬間笑顔で間違いないね、と一言」とのこと。
判ります。すごく判ります…!この濃厚なチーズの旨味に鮮烈なほど爽やかな豊国を合わせると、旨味と香りの輪郭がよりハッキリして際立ちます。さらにウォッシュチーズのクセが強めの風味がお酒の仄かな糀風味ともリンクすることで、独特の新たな風味を生み出してくれます。
それらの同時多発的なペアリング、素材同士の掛け算によって強化された旨味と風味が口の中で溶け込み、ピザもお酒もすごく美味しくなる。気持ちをますます晴れやかにしてくれる組み合わせです。

・デリカトマト <福島県伊達市/有限会社八島食品>

ここで満を持して出てくるのが、八島食品のトマトピクルス、デリカトマト。
今回のお酒の個性に近く寄り添う強めの酸味や爽やかさ、ほのかな甘さという肴は箸休めにも丁度良いのみならず、お酒の風味をさらに引き立てます。

トマトは口にしたときの食感も良く、なによりブラートヴルスト同様「瞬間的に旨味が弾ける」特性があるので非常に好相性。さらに、先ほどのクアトロフォルマッジと合わせることでイタリア料理のカプレーゼのような風味も感じられます。やはり美味しいですね!

・ふきのとうしょうゆ <福島県南会津郡南会津町/株式会社会津物産>

・しろべこ農園のきゅうり <福島県河沼郡会津坂下町/しろべこ農園・佐藤裕司さん>

最後は、fukunomoでの豊国酒造ペアリング定番となった「ふきのとう」。前回同様、きゅうりに添えてのペアリングです。

ここまで全て洋風で来た中で、敢えての和風。ふきのとうのほろ苦さが豊国に良いアクセントを与えてくれるのみならず、しょうゆの旨味とほのかな甘さが心地良い。その上、新鮮なきゅうりのシャキシャキ感と青物の風味は、豊国の青林檎のような若々しい酸味と香りと合わせると非常に相性が良い。火照った身体にも心地よい。
しかも今回のきゅうりは、冬は豊国酒造の蔵人、夏から秋は農家として働いている「白べこ農園」さんからの地元産直品。これはイチオシです!


今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?

fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。

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