乾いた大地に沁み入る、慈雨のような旨味。(2023年2月|人気酒造) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

乾いた大地に沁み入る、慈雨のような旨味。(2023年2月|人気酒造)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第54回目】

美しく澄み切った岩清水。
雪解けの白梅を思わせる、淡く甘美な吟醸香。
口にした瞬間、この酒の「世界」に引き込まれてしまう。
安達太良の翠嶺(すいれい)から吹き降りる風。
舞う花びらと、さざ波のように揺れる木々に抱かれる──。
そんなイメージが駆け巡り、身体中が清廉な何かに満たされていく感覚になる。
乾いた大地に沁み入る、慈雨のような旨味。
滋養、とでもいうのだろうか?

無論。この酒が冠した「グリーン」の名に、そんな意味などないだろう。
それでも、この酒の魅力を語るほど、どうしても「自然」のイメージを重ねずにはいられない。

日々の喧騒を忘れさせる、極上の「癒し」がここにある。

■今月の美酒

・グリーン人気 オーガニック純米吟醸 <福島県二本松市/人気酒造>

人気酒造は、奥州二本松(福島県二本松市)の酒蔵。

先月ご紹介した大七酒造と並び、この地を日本酒の「世界的な名醸造地」たらしめる超実力蔵の一角です。国内外数々のコンクールでの受賞歴を誇り、従来の日本酒ファンのみならず初心者や海外にまで幅広いファンを持っています。

二本松の酒は全般的に芳醇な口当たりと芯が強い味わい、いわゆるフルボディの味わいの酒が多い特徴があります。ただ、人気酒造は「ラインナップされている商品全てが吟醸酒」という特徴もあいまって、個人的には二本松の醸造元(人気酒造の他には大七、奥の松、千功成があります)で最もフルーティかつ爽やかなお酒が多い印象です。

一方で、それら華やかな酒は、鑑評会出品酒を除く全てを和釜で蒸した手造りの麹、さらに木桶での発酵という伝統的な道具と技術で醸されているという一面も。

この蔵元の酒を飲むたび、伝統の高い技術に裏打ちされた「古くて新しい」日本酒の可能性と未来を感じずにはいられません。なにより、全般的に「飲むと気持ちを上向きにさせてくれる酒」です。日常にささやかな幸せを届けてくれる味わいなので、この機会にぜひfukunomoで試して頂きたいな。

なお、人気一のお酒を飲むとき特にお薦めしたいのがワイングラスでの楽しみ方。二本松の酒「らしさ」を感じさせるフルボディの芳醇な味わいを持ちながら、口当たりはあくまでも爽やかかつ滑らか。吟醸香も際立ち、お酒の魅力がさらに引き出されること請け合いです。特に、今回の「グリーン人気 オーガニック純米吟醸」の「グリーン」が意味するのは「JAS有機米を60%精米し、日本、カナダCOR(同等性アメリカNOP・台湾)EUでオーガニック認証を受けた」ということ。まさに自然の「滋味」を引き出した、柔らかで奥行ある味わいがより堪能できるはず。

勝手にペアリングを考えてみた

それでは今月も最初にfukunomoさんとは別に、予備情報無しで今回のお酒を飲んで、私なりにペアリングを考えてみましょう。(以前にも書いたら、意外と好評でしたので)

このお酒、元々のベースが二本松のお酒らしく芯が強いので。あんまり我侭を言わない良い子です。そのままおつまみ無しで飲んでも美味しい。癒される。マジ天使。

色々合わせ方はありますが、ポイントとしては梅花のように可憐な甘い風味を損なわないような、優しい甘さのものを選ぶのが好みかな。そこに、香味などのアクセントを加えていく感じ。

ナッツ系の甘めの香味なども合いそう。ただ、強い苦味は合わないのでやめた方が吉。ダメだろうなと思いながら、手元にあったコーヒービートチョコレートを試しに合わせてみたら想像以上にダメだった。ごめんね。

生臭い食材と合わせるのは、やれなくもないけどせっかくの可憐な香りが勿体ない気もする。お魚などと合わせるならば、上品な香りとふくよかさが双方引き出される白身魚系をぜひ合わせたい。薄造りの刺身、カルパッチョなども良いね。ダメならサーモン系でも悪くない。

オリーブオイル、ハーブ系や香辛料も合わせやすい。特に、この酒には粗挽きの黒胡椒がアクセントに良いのでぜひ試してほしい。かなりおすすめ。

キツ過ぎなければ、ガーリックの風味なども良さそう。フレンチのエッセンスが入ったおつまみ系が良いかも。なので、さっき言ったような白身魚をポワレとかムニエルなんかにしたら最高なんじゃないかな。

強すぎなければ酸味も良し。あまり生臭さの無い系統で南蛮漬けとか? 多分、華やかさが際立つよね。

あと、季節は違うけど白桃系のスイーツが入ったら良いかもしれない。洋梨も合いそう。味変とかペアリングの妙で言えば、チェリー系と合わせたらかなり面白そう。他に、花のような香味なので蜂蜜を合わせるのも良いかもしれない。ここまで書いてみて気付いたけど、今回のお酒って味は違うけど気配が蜂蜜酒(ミード)のそれにも似ているのかも。

洋風系ばかり考え付いてしまったけど、もっと和を意識して行くなら白糀とか三五八などで漬けた肉などもおすすめ。上品かつ自然な甘さを意識する感じに。

トマトとの相性も良さそう。トマトモッツァレラとかも良いけど、以前fukunomoでも出てきた塩トマト甘納豆などが良いかも。

あと、「甘さ」でいくと、玉ねぎの甘さも捨てがたい。福島は全く関係ないけど、サワークリームオニオンとかこの酒にとても合うんじゃないかな。それで言えば、これも前にfukunomoで出てきた内池醸造の「野菜が好きになるスープ」は間違いなく合う。さっき言ったようにトマト味も良いし、ただ、スープでじっくり合わせるならオニオンの優しい甘さが特に推しかな。

http://uchiike.co.jp/product/retort/202.php

…と、こんな感じになりました。

ではでは実際のfukunomoではどんなペアリングが来ましたでしょうか。早速、実食していきたいと思います!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・安達太良西京漬 豚肉
 <福島県大玉村/大丸屋>

・ごぼうこんにゃく
 <福島県二本松市/安斎食品>

・くるみ小女子
 <福島県いわき市/西野屋食品>

・四季の味覚 山芋しょうゆ漬
 <福島県伊達市/八島食品>

・昆布仕立て いか大根
 <福島県会津若松市/会津天宝醸造>

・安達太良西京漬 豚肉 <福島県大玉村/大丸屋>

最初は、豚肉の西京漬けから。来ましたねコレ。白糀とか三五八では無かったけど、西京漬けは同様に、「上品かつ自然な甘さを意識する感じ」のイメージ。肉汁がじんわり沁み出てきて、西京味噌の旨味や甘味と交じり合って、さらに炙った香ばしさがたまらない!

ここにお酒を合わせてみると、お酒と味噌の香味と甘味、旨味がそれぞれ交じり合って、さらにジューシーで良い感じに。澄み切った岩清水が、怒涛のように溢れる旨味の塊になります。これは何枚でもお肉食べたくなりますね!

・ごぼうこんにゃく <福島県二本松市/安斎食品>

続いては、お酒と同じ二本松市内から「ごぼうこんにゃく」

ごぼうとこんにゃくそれぞれの食感の掛け合い、醤油の風味、唐辛子のピリ辛さが絡んでお酒が進みます。

合わせる前は、このお酒に苦味はどうかな?と少し思ったものの。ごぼうのほのかな苦味程度であれば全く問題ありませんでした。むしろ、ちょっとしたアクセントで想像したよりも相性良さげ。あと、日本酒とこんにゃくの食べ合わせってやっぱり安定の美味さですね。

・くるみ小女子 <福島県いわき市/西野屋食品>

続いては、くるみ小女子。小魚の旨味とくるみの甘味が絡むお馴染みの一品ですが、このお酒はこうした乾物系にも合いますね。最初に「乾いた大地に沁み入る、慈雨のような旨味」なんて表現しましたけど、まさに沁み込んで旨味という息吹を吹き込むかのよう。

お酒に滲み出てくる素材の風味が口全体に広がって、今度はそれが身体に沁み渡る。しみじみ、旨い。

あと、ナッツ系の甘味や風味はこのお酒と相性良いなと改めて思えました。くるみはもちろんのこと、(福島とは無関係になっちゃうけど)マカダミアナッツの独特な風味なんかと合わせてみても面白そう?

やっぱり、fukunomoを楽しんでいると色んな発見や発想のインスピレーションが貰えますね。これでこそというか、本当にこういうの楽しい!

・四季の味覚 山芋しょうゆ漬 <福島県伊達市/八島食品>

今回のペアリングで個人的に面白いな??と思ったのはコレ。

個人的にはあんまり山芋を漬けたものは食べたことが無かったので(他のご家庭だと結構食べてるものなんですか?)、まず漬物なのにシャキシャキの食感からして新鮮な感動が。

味も良く染みているので、軽快な口当たりからの少しぬるっとした旨味、山芋の魅力が非常に際立ちます。それらがお酒の旨味と絶妙に絡んで、ペアリングが実に心地よいんですよ。強烈なインパクトは無いけど、ついついクセになってしまう。

さらに山芋といえば、古来から滋養強壮の食べ物。このお酒の「滋養」「癒し」のテイストと掛け合わさって、なんともスタミナが付く感覚がありますね。まさに滋味尽くし。

・昆布仕立て いか大根 <福島県会津若松市/会津天宝醸造>

最後は、会津若松市の天宝醸造から「昆布仕立て いか大根」。

福島の名物と言えば「いかにんじん」が有名ですが、これはそれのアレンジ? なのかな。

以前もfukunomoで頂いたのですが、これがまた大根の食感がハリハリしてとても心地良い。そこに、昆布といかの旨味が沁み込んでいて、お酒のみならず白いご飯のお供にも最高です。この食感と強い味わいも、またクセになりますね。

なお、今回は全体的に塩気が強いおつまみが多かったので。私の場合、硬めの木綿豆腐(肴の食感に合わせ、敢えて絹ごしではなく木綿豆腐に。硬めのものを使うことで食感の相性を近づけてます)を湯豆腐にして合わせてみました。こうすることで、それぞれの肴の味がより細かく、繊細に感じやすかったのでおすすめかも。(豆腐が面倒臭い場合、代わりに炊き立てご飯を合わせても可)

ごぼうこんにゃく、山芋しょうゆ漬け、くるみ小女子、いか大根と醤油ベースの味わいが続いたので、これを箸休めにしながらゆっくりお酒と合わせて食べ比べしていくことで、より楽しみやすいんじゃないかと思います。

あと、最初にワイングラスで飲むのがお薦めとは言ったものの。今回のペアリングセットの場合は敢えて冷酒ではなく、吟醸香を飛ばさない程度のぬる燗で楽しむのも良いかも知れません。温食にすることで醤油や出汁の風味がより引き立ち、お酒とも和らかく合わさっていく。心と身体にじんわり沁み入る「和」の寛ぎが、より堪能できること請け合いです。

とても美味しく頂きました。ごちそうさまでした! (*´▽`*)ノシ


今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?

fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。

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