鮮烈な酸味と、引き締まったドライな口当たり。後味にはライチを思わせる淡い香りと僅かな甘さ。(2022年11月|渡辺酒造本店) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

鮮烈な酸味と、引き締まったドライな口当たり。後味にはライチを思わせる淡い香りと僅かな甘さ。(2022年11月|渡辺酒造本店)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第51回目】

寒さに向かう東北の晩秋には、特有の気配がある。
殊に夜。凛と冷えた風が落ち葉を鳴らし、夜の闇が日に日に深くなる。
黒に輝く星空が、コントラストが、輪郭が、より美しく際立ち始める──。
この酒の魅力は、その感覚に近い。
目が覚めるほど鮮烈な酸味と、引き締まったドライな口当たり。後味にはライチを思わせる淡い香りと僅かな甘さ。
それはまさに、晩秋の星空に包まれる夜想曲。
漆黒に引き寄せられる感覚の、少し不思議な体験。

■今月の美酒

・純米大吟醸 雪小町 F7-s Space-yeast <福島県郡山市/渡辺酒造本店>

今月のお酒は、『純米大吟醸 雪小町 F7-s Space-yeast』。福島県郡山市の渡辺酒造本店さんからです。
渡辺酒造本店さんは郡山市の東部、三春町にほど近いあぶくま高地で地元向けの御神酒造りの酒屋として明治4年に創業された酒蔵で、全国新酒観評会での金賞受賞歴も多数持っている実力蔵。
その味わいを一言で言うと、「芳醇辛口」。少し複雑な風味と味わいがありつつ、サラリとしたキレの良さ。お酒を充分楽しみつつ翌日に負担を残しにくい、日常に根差した酒が多い印象です。

そうした中で、今回のお酒は『東北復興宇宙ミッション2021の一環で、福島県の日本酒用酵母「うつくしま夢酵母」を宇宙飛行させ、帰還後に福島県酒造組合所属の酒蔵が競って醸す。』という企画で生まれた1本です。宇宙を旅行してきた酵母が味にどう影響を与えるのか、正直私には判りません。…が、なんだかロマンがある話じゃないですか!

なお、実際に飲んでみての感想としては特に酸味とキレが際立ちますね。いわゆる「超辛口」と呼べるほどドライな味わいです。もっとも、最初から後味までかなりスッキリしているものの、刺々しさは少ない。乾杯酒や食中酒としても秀逸と言えるでしょう。
香りは純米大吟醸としては相当控え目。一方で、淡く残る味わいの中には繊細さと力強さ、柔らかさと硬さとでも言うべき、一見矛盾した魅力が調和し織りなす複雑さを感じます。

このお酒に自分なりのペアリングを考えるなら…そうだなあ。酸味と口当たりを活かす方向として匂いや風味が強いおつまみと合わせるのが良さそうかな。たとえば、脂が乗った魚介類などの魅力が生かされやすいイメージ。飲み手の好みにもよるけど、クセが強めのチーズなどもベストかも知れない。甘味があったり、ナッツ系の香りがする品種がおすすめ。
他にも、デミグラスソースやグレービーソースとのペアリングなんかも美味しそうかな。肉の旨味や甘味がたっぷり詰まった味との相性も良さそうだね。

その一方で、あまり淡白過ぎる風味のおつまみを合わせると全体的に物足りなく感じてしまう可能性もあるかも。お酒のキレがかなり強い分、あまり淡白過ぎると負けてしまう。
なので全体のバランスを見ながらだけど、あまり箸休めには重心を置きすぎない方が良いかもしれない。

また、別方向の刺激を追加し過ぎるとお酒のキレの強さと喧嘩してしまいそう。(もっとも、敢えてそういう刺激のぶつかり合いや競演が好きな人もいるだろうけれどね)
万人向けに加えるならば、甘さとか、香りとか、柔らかい系統のものを。

なので、ここは一つ。お酒のキレとその方向性を尊重し、引き立てながら全体を整えていく調和重視のイメージかな。具体的には、バジルやペッパーなどの香味スパイスは合わせやすい一方、キムチのように辛味や塩味の強さが先立つとトゲトゲしさに繋がってイマイチかも。塩味の強さが先立つという点では、漬物系もペアリングの難易度が少し高め。もしやるなら、和の漬物というよりもオリーブ漬けとかその辺りなら可。

…なんて、自分なりに色々と想像を膨らませるのもペアリングの楽しみ。さてさて、今月のfukunomoはどんな提案をしてくれるのでしょうか!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・銀鮭味噌漬
 <福島県いわき市/株式会社 大川魚店>

・愛椎しいたけ
 <福島県郡山市/株式会社 しのや>

・べったら漬
 <福島県郡山市/株式会社 小田原屋>

・海苔でサンド さば缶の味
 <福島県相馬市/株式会社サンエイ海苔>

・ショコラインクッキー ハート&ハート ホワイト
 <福島県石川郡石川町/株式会社 お菓子のさかい>

・銀鮭味噌漬 <福島県いわき市/株式会社 大川魚店>

最初に味わうのは、いわき市が誇る名店・大川魚店から「銀鮭味噌漬」。
大川魚店のお魚は、海鮮物に舌が肥えた地元でも贈答品にも喜ばれる銘品揃いです。

弱火でジックリ、焦げないようにふっくら焼き上げた鮭は、もう、見るからに脂がのっていそうにツヤツヤで。
これを一口、お酒と共に食べてみると!

トロっとした旨味が、じゅわわわわぁぁぁっっと口の中に広がるのです…!
特筆すべきは、味噌の優しい甘味。鮭の脂の甘味と重なりあって、お酒を包み込んでくれる。ちょうど良い塩気。味噌の香味。ふくよかな旨味。なるほど、これはとても良い「甘味」「香り」をお酒に付与してくれますね。味わいがボリューミーに、ダイナミックに広がりますね!
その上で、お酒の強いキレが後味をすっきりさせてもくれる。生臭さも感じさせない。なるほど、とても美味しい。

・愛椎しいたけ <福島県郡山市/株式会社 しのや>

続いて、愛椎しいたけ。
今日は少し肌寒かったので、鍋に入れてつかってみました。

肉厚な椎茸は、特有の滑らかでプリップリとした口当たりが魅力的。もちろん旨味もたっぷりで、噛むたびに滲み出てきます!
今回のペアリングは、やはり「甘味と香り」が鍵になってますね。この椎茸も、強い香りと自然な甘味がお酒と上手く絡み合います。椎茸出汁が沁みだしていくような感覚。うーん、ジューシー。

・べったら漬 <福島県郡山市/株式会社 小田原屋>

さらに続くのは、べったら漬。これも「やわらかな甘味と香り」がポイントですね。
何度かfukunomoで頂いている小田原屋さんのべったら漬は、一般的なものに比べて甘さ控えめでべたつきにくい、サッパリと軽い食感。これがまた、お酒のお供にピッタリなのです!

・海苔でサンド さば缶の味 <福島県相馬市/株式会社サンエイ海苔>

そして今回の新顔はこちら!私も初めて食べる、相馬市のサンエイ海苔さんから「海苔でサンド」です。
相馬市の松川浦は、美味しい海苔の名産地。その味と品質には、昔から定評があります。
この「海苔でサンド」は、海苔でサクサクのお米のパフと香ばしいサバ節を包んだ商品で、2020年新東北みやげコンテスト入賞商品でもあります。

早速食べてみると、軽快な食感が印象的。お酒の水分で海苔が戻っていくのと共に、じんわりと口のなかに沁みていく旨味。実に後引く魅力です。これは日本酒のみならず、ビールやワインにも合いますね。オールマイティな感じ。

・ショコラインクッキー ハート&ハート ホワイト <福島県石川郡石川町/株式会社 お菓子のさかい>

最後の〆には石川町、お菓子のさかいさんからハート&ハートのホワイト。
ショコラが練り込んであるクッキーは、しっとり食感と優しい甘味、ショコラの香りが奏でる素敵な味わい。雪小町さんのドライな口当たりに甘く優しく寄り添う、淡雪を思わせる可憐で上品な美しさ。実にいいペアリングですね!
「甘さと香り」がポイントになっていた、今回のペアリングセットのラストを締めくくるに相応しい一品ですが、これは癖になるのでおかわりほしくなります。今度、プライベートでも買いに行きます!


今回は柔らかな甘さと香りで「超辛口」を抱擁したようなペアリング。言うならば、お酒のイメージである晩秋の星空を堪能しているところに、それを長く、より楽しめるように温かいコートと飲み物を差し入れしてもらったような感覚。お酒とおつまみ、両方の魅力がさらに高まるセットでした。

なお、今回ちょっとやってみたように、最初にお酒のペアリングイメージを自分でも考えつつ、実際に届いたセットを楽しんでみるのも実はfukunomoの醍醐味。ペアリングを設計したfukunomoスタッフの発想や気遣い、自分と似たポイントや意外だったポイントが感じられて面白いので、ぜひ試してみてくださいね。

fukunomoで、福島のお酒はもっと面白い! 今月も、ご馳走様でした!(´▽`)ノシ

<fukunomoお申し込みのご案内>

今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
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