幻想的なイメージを余すことなく詰め込んだかのような、価値ある一本。(2022年9月|会津酒造株式会社) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

幻想的なイメージを余すことなく詰め込んだかのような、価値ある一本。(2022年9月|会津酒造株式会社)

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

【連載第49回目】

煌めき。
やや甘さを感じる口当たりながら、あくまでも透き通った綺麗な味わい。その透明感に不釣り合いなほど芳醇で深い香りは、ブランデー、それも熟成させた上等なコニャックを思わせるほど。
それは、いわば夜空に輝くミルキーウェイ(天の川)。
初秋の南会津。草木を静かに揺らす夜風にあたり見上げる満天の星空。静寂の中に響く鈴虫、松虫、蟋蟀(こおろぎ)達の奏で。その幻想的なイメージを余すことなく詰め込んだかのような、価値ある一本。目を閉じながら味わえば、幾多の星の輝きが身体中を駆け巡るかのようです。最後に抜ける穏やかな酸味が、バランスの取れた食中酒としての秀逸さも演出します。

「先入観なく味わってほしい」との蔵元の想いから、敢えて詳細なスペックは載せない。裏ラベルには「感じるままに飲んでください」の言葉。まさに、感性を震わせてくれるお酒です。

■今月の美酒

・山の井 黒 天の川<南会津町/会津酒造>

今月は、会津郡南会津町で元禄年間から続く老舗「会津酒造」さんより、「山の井 黒 天の川」。

会津酒造さんを含めた南会津地域の酒は、全体として「強い旨口でありながら飲み飽きない」が特徴的。飲めば飲むほど旨味が滲み出てくる上、飲み飽きず延々と飲んでいられる酒が揃っています。
そのため、旨い酒がひしめく福島県内でも特に「のん兵衛さん」たちを中心に、根強いファンが昔から多いのです。

一方で、この地域は決して交通の便が良いとは言えず、冬は雪深くもなります。お酒の醸造も、大手酒造メーカーに比べれば決して大規模ではありません。
特に今回の「天の川」も含めた「山の井」ブランドは、最先端の醸造技術を学んだ若き跡取りが「自由な発想で造る」として取り組んでいる新しいお酒。限られた生産量の中でも更に限られた限定品です。この稀少かつ新しい地酒がお手軽に手元に届くのは、やはりfukunomoならではの魅力と言えますね。

それでは、今月もペアリングを楽しんでいきましょう!

■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・厚揚げソフトスティック
 <福島県いわき市/丸又蒲鉾製造有限会社>

・食べるオリーブオイル きのこまみれ
 <福島県郡山市/株式会社 小田原屋>

・青豆寄せ豆腐
 <福島県棚倉町/叶 有限会社 大椙食品>

・福島県産梨
 <福島県会津若松市/JA会津よつば>

・バナナブレッド
 <福島県南会津町/御菓子司 三浦屋>

・厚揚げソフトスティック <福島県いわき市/丸又蒲鉾製造有限会社>

最初は、いわき市の丸又蒲鉾から「厚揚げソフトスティック」。
一見して普通の厚揚げに見えますが、実はこれ、非常に丁寧に作りこまれた隠れた名品なのです。

上質なスケトウダラのすり身、玉ねぎ、赤穂の天塩を石臼で挽いて一晩熟成。
これを、表面に焼き目が出来るようにじっくり弱火で炙る。少し香ばしくなった厚揚げに軽く醤油を垂らすと、ジュワっとした音と共にさらに香ばしさがマシマシ。実に食欲をそそります。

期待と共にそーっ…と口に運びます。
やけどに気を付けてハフハフしながら噛むと、絹のように滑らかな口当たり。直後、じっくり炙られ引き出された、天塩で馴染んだ白身魚と玉ねぎの旨味がジワジワと滲み出てくる。これが口いっぱいに広がったところで、いよいよ「山の井 黒 天の川」を投入。

次の瞬間。まばゆいばかりの煌めきが、衝撃として味覚を刺激してきます。あらかじめ口いっぱいに浸透させておいた旨味が、まるでポップコーンが次々と弾けるかのように炸裂! ほとばしるジューシーな旨味は、いわば天の川流星群。これはたまりません!

・食べるオリーブオイル きのこまみれ <福島県郡山市/株式会社 小田原屋>

続いては、「食べるオリーブオイルきのこまみれ」。オイル自体の旨味もさることながら、溶け込んだきのこのダシと食感が絶妙。ほのかに香るポルチーニ風味もアクセントとして秀逸です。
これは、そのまま食べてももちろん、調味料のように使っても美味しく食べられます。
特にペアリングの場合、お酒と食材単独の組み合わせのみならず、相性が良い食材同士を重ねることで更なる広がりも演出できるのです。

そこで、先ほど味わった炙り厚揚げの残りと合わせてみます。
すると、フレッシュなオイルがお酒のジューシーな味わいをさらに増幅。お酒は、オイルに含まれるダシや旨味をさらに増幅。美味しさの、まさに足し算という以上に掛け算です。
しかし余談ながら、瓶に描かれたマッシュルーム執事さんが実にチャーミングですね。

・青豆寄せ豆腐 <福島県棚倉町/叶 有限会社 大椙食品>

今度は箸休めを兼ねて棚倉町から「青豆よせ豆腐」。
爽やかでありながらも青豆の風味がしっかりと利いた、枝豆をそのまま食べているかのような芳醇な旨味が特徴的です。ご存知のように、青豆の旨味って日本酒やビールにも良く合います。

これまた単独でもかなり秀逸なおつまみなんですが、こちらにも更に、先ほどと同様に「食べるオリーブオイルきのこまみれ」を和えてみます。

するとどうでしょう!
オリーブとキノコ、青豆、それぞれの香りが引き立つと共に、食感がオイリーで滑らかに、旨味もさらに味わい深く。
オイルと豆腐のハーモニーは、味付けは全く違うものの麻婆豆腐のようなイメージでしょうか。辛さは無いものの、どれも香りと旨味が際立つ素材の組み合わせ。それでいて、豆腐の爽やかな喉越し。お酒がますます進みます!

・福島県産梨 <福島県会津若松市/JA会津よつば>

続いては、福島県産の和梨。
あまりイメージが無いかも知れませんが、福島は和梨もかなり美味しいことで知られています。ちょうど収穫時期にあたる夏から秋にかけての福島は、昼は気温が高く夜は冷え込む日が多くなります。そのため、糖度が高く身が引き締まった、美味しい和梨が味わえるのです。

オイルの旨味を堪能した後に、このシャキシャキ食感と瑞々しさは一層メリハリとして引き立ちます。生の和梨特有の香りは、日本酒の吟醸香を表現する際にも良く喩えられます。その果物が、日本酒に合わないわけが無いのです!
綺麗な香りと旨味漂う「山の井 黒 天の川」に、さらに瑞々しさと吟醸香を加えたようなもの。食事全体のアクセントとしても秀逸ですね。

・バナナブレッド <福島県南会津町/御菓子司 三浦屋>

どれも美味しい中で、特筆すべき今回のダークホースはコレ。
風味豊かなバナナブレッドは単独でも充分美味しいのですが、やはりペアリングにすると秀逸です!

バナナ? と思うかも知れませんが、実は前述の和梨同様、バナナ風味も日本酒の風味を表現する際に良く使われます。
(※記事で専門的ウンチクに走るのは敢えて避けているのですが少しだけ補足すると、具体的には「酢酸イソアミル」という成分が、吟醸香のバナナやメロンのような風味を醸し出すと言われております。林檎や和梨の香りと喩えられる風味は「カプロン酸エチル」。)

吟醸香に似た風味の和梨に続き、バナナ。風味の相性もさることながら、冒頭にもご紹介したように、今回の「山の井 黒 天の川」にはまるでブランデー、それも上等なコニャックを思わせるような芳醇さがあります。バナナブレッドに直接かけてビタビタになるまで浸してあげると…なんと、ブランデーケーキのような逸品が出来上がってしまうのです!

吟醸香が際立ち、風味も強化。ブレッドに入ったナッツもまた、アクセントに丁度よい。これは非常に美味しい! おかわりが欲しくなりますね。
このお酒、飲んで愉しむのはもちろん、ラムやブランデーに近い使い方でお菓子作りに使っても良いのかも知れません。きっと、ご家庭でもビックリするほど美味しい、ワンランク上のお菓子が出来上がりますよ! ( *´艸`)


今回は、秋の南会津から「山の井 黒 天の川」を頂きました。
個性と旨味が際立つ素晴らしい味わいは、そのまま飲むのはもちろん、特にペアリングで非常に豊かな表情を見せてくれました。
知られざる稀少な1本や隠れた名産品、それらのペアリングという思いがけない出逢いが毎月待っているfukunomo。ぜひ、みなさんも楽しんでくださいね!

今月も、ごちそうさまでした!(´▽`)ノシ

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