会津の冬を思わせる「凛とした」上品な気配を纏う酒〜fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2020年12月|山口合名会社) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

会津の冬を思わせる「凛とした」上品な気配を纏う酒〜fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2020年12月|山口合名会社)

今月のお酒は「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!

2020年11月号は、とっても小さな蔵からパワーある酒を醸す会津若松市の山口合名会社さんからお届けする「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」です。

【連載第28回目】

「ふくしまの酒が、ピンチです!」

 

最近の福島では地元テレビ局がCMで冒頭のように呼びかけるなど、新型コロナウイルスによる打撃は深刻になっています。県庁所在地の福島市でも、この1年間で飲食店の1割近くが閉店に追い込まれたと報道されました。当然、それに連動する形で日本酒や食材などの消費量も全体的に落ち込んでいます。

 

以前、現代ビジネス記事福島の地酒が「世界的日本酒ブーム」の中で快進撃を続ける理由』の中でも書きましたが、福島は同じ県内でも食や文化の違いが大きく、結果としてそれぞれの地元で愛されるローカルフードや酒蔵がたくさん生まれ、地域ごとの個性が豊かになりました。

それらの多様性こそが福島の食と酒とを彩る大きな魅力の1つ。しかしそのかけがえのない魅力は、裏を返せば「それらを支えているのは必ずしも経営体力が潤沢ではない中小企業がほとんどである」ともいえるのです。

 

福島の地酒と食材とを毎月お届けするfukunomoが今年になって急遽再開された理由は、そんな新型コロナ禍での福島の食と酒とを守るため、応援する目的も大きいとのこと。

全国的、全世界的にどこも大変なのは重々承知の上ではありますが、福島の食と酒の多様性の魅力を次世代にも残していくために、改めまして、私からもどうか沢山の方のご利用をお願い申し上げます。

 

さてさて。深刻な話が最初に来てしまいましたが、それはそれとして。

今月も早速、このfukunomoの魅力を楽しく、おもいっきり堪能していきましょう♪

 

今月は、会津若松市の山口合名会社さんから「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」が届きました!

山口合名会社さんの創業ルーツは、寛永年間にまで遡ります。会津藩の初代藩主保科正之時代から酒を造り続けるという泉屋儀兵衛から数え、現在の山口佳男社長は15代目に当たるとのこと。全国新酒鑑評会でもその黎明期から常連の、歴史ある蔵元です。

「会津で一番うまい酒」となることを願って名付けられた看板銘柄「会州一」は、長年多くの人に親しまれてきました。

 

しかし、そんな「会州一」の酒も2000年代に入ってから、一度は廃業の危機を迎えることになります。酒造りの灯がまさに消えそうであったそのとき、それを惜しむ地元の方々やファンからの厚い応援を受け、数年のブランクの後に再び復活を果たしました

 

現在は往年のような大規模醸造ではありませんが、その分、「醸す全ての酒が精鋭揃い」ともいえる美酒揃い。もとより継承してきた「会州一」の名に相応しい高い技術力が惜しみなく注ぎ込まれています。

その味わいは多くの人を魅了し、近年は従来からのファンに加えて新しいファンが続々と増え続けています。今や、福島の酒を知る人たちの間で「なくてはならない酒」となった会州一。それでは本日も早速飲んでいきましょう♪

 

・会州一生酒 純米原酒 初しぼり

盃を近づけると、新酒らしい実にフレッシュな風味そして生命力を感じさせる躍動感ある香りが僅かに立ちのぼります。

しかし、ひとたび口に含むと、思った以上に整った味わい。まだ若々しい新酒、特に生酒で一般的に出やすい荒々しさやエグ味、「定まらなさ」のようなものは感じさせず、とても良い意味で輪郭がハッキリして味に曇りがない。会津の冬を思わせる「凛とした」上品な気配を纏っています。

一方で気難しさは無く、飲み口は終始澄んだ清水が沁み入るような口当たりの良さが際立ちます。青りんごを思わせる爽やかなフルーティさとライムに似た心地よい苦味。後味に残される淡雪のような優しい余韻。絶妙な味の緩急の使い分けとバランスの良さは、誰しもに飲みやすく、しかし飽きさせず、心を躍らせ、陶酔させる。一言で言えば、とても「華」があるお酒です。

 

まさに美技・美麗。まるで、若く美しい天才剣士の、息を呑むような研ぎ澄まされた剣技を目の当たりにしたかのよう。なんとなく、新撰組・沖田総司のイメージが頭を過ぎりました。心底美味しく、そして強く凛とした、美しい酒。この酒蔵の酒に根強いファンが増え続けているのは必然としか言いようがありません。

 

今月のマリアージュ/ペアリングセットは


    • 国産馬肉<福島県会津若松市/ハヤオ>
    • 会津郷土料理こづゆ<福島県南会津郡南会津町/会津物産>
    • ゆず大根<福島県東白川郡矢祭町/山のごちそう本舗>
    • しば漬<福島県郡山市/小田原屋>
    • 会津高原そば<福島県南会津郡南会津町/奈良屋>

・国産馬肉

今回のメインは、会津名産の馬肉を焼肉用で。どうしても高価になってしまうところが難点ですが、会津のお酒は、どれも馬肉にとても良く合います。(しかし、fukunomoではいつもと同じお値段でコレが送られてきちゃうのです…!)しかも馬肉は高たんぱく低脂肪で、おつまみとしても結構ヘルシー志向だったりします。

しかし、この馬肉。福島県内は比較的馬肉を購入しやすいとはいえ、焼肉用やすき焼き用などの馬肉を広く購入できるのは基本的に会津近辺以外では相当難しいところ。こういう珍しいおつまみが届くのは、まさにfukunomoならではの良さがありますね!

 

今回は、知り合いの農家さんからたくさんいただいた曲りネギをザクザク切って、ニンニクたっぷりのタレと一緒に馬肉を焼いて合わせてみましたが、これがまた、お酒が進むのなんの。

馬肉を焼いて食べるのは、数年前に馬肉の本場である会津坂下町で精肉店経営の焼肉店で食べた時以来ですが、相変わらず旨い。甘辛いタレとネギ、ニンニクの風味が、あっさりしていながらも旨味がぎゅうぎゅう詰まった馬肉と絡み合って、口の中にジュワジュワと広がっていきます

 

そこに「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」を入れると、まさに一閃。

爽やかさ、華やかさが一気に走った直後、まるで、口の中で料理がフランベされたかのような錯覚。そのままでも美味しい味わいが、この酒が加わることで旨味がよりジューシーに溢れ出し、料理が完成されたような感覚さえあります。

・会津郷土料理こづゆ

続いては、こちらも会津郷土料理のこづゆ。ホタテの貝柱で出汁をとった上品な味わいの、会津の祝宴には欠かせない一品です。こちらも会津以外では入手困難なおつまみ。fukunomoならではの良さが~(2回目)。

 

今回のお酒は、こづゆの柔らかで優しいホタテ出汁の風味も存分に活かしてくれます。

素材から滲み出てくる素朴で繊細な味を引き立て、穏やかに調和する。焼肉の強い味わいとの合わせと同時にこんなことが出来るのは、まさに緩急、動と静を併せ持つこの酒ならではの懐の広さと言えるでしょう。

 

・ゆず大根

ここに、箸休めも兼ねてゆず大根を合わせます。

たっぷりの柚子皮と合わせて浅漬けにされたのは、薄切りに、しかし大きくカットされた大根。こうすることで、軽やかに食べやすくなるにとどまらず、柚子の香りが一層立ちやすくされています。

これは、今回の「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」とはすこぶる相性が良いですね! お酒がもつ柑橘系に似た苦味が柚子のそれと共鳴し、そこを起点に互いの良い香りや甘味のポテンシャルをさらに伸ばしてくれる感覚があります。「ペアリングの醍醐味」というものが、とりわけ判りやすい。これは今回、特にイチオシの組み合わせかも。

 

・しば漬

次は同じ漬物でも、ゆず大根とは別のアプローチでしば漬を。すると今度は、しば漬特有の味と香りが強いアクセントとして響きます。

fukunomoでのこういうおつまみ同士のメリハリあるペアリングの設計は、言うならば、色相環のように時々感じられます。

「しば漬」は今回のお酒に対していわば捕色(反対色)、先ほどのゆず大根は近似色のようなもので、アクセントと調和に相当するそれぞれのおつまみがあることで、セット全体としてのペアリングの完成度を上げているのだろうと思います。こういうペアリング全体のデザインを考えている設計者、松岡さん(※)。やはり只者ではないなぁ、などと改めて。今度また、ご一緒に飲みたいところです。

※松岡さん・・・fukunomo編集部のペアリング担当。通称fukunomoの女王。会員さんへお送りする冊子ではお酒の解説コラムを連載しています。(編集部)

 

・会津高原そば

そして今回の〆は、再び奈良屋の「会津高原そば」。

以前も言いましたけど、私、奈良屋さんのお蕎麦が大好きでして。「乾麺でここまで美味しい蕎麦が出来るのか」と思えるくらい、蕎麦処でもある会津の魅力を楽しませてくれます。

酔った身体には、冷やした蕎麦の香りと喉越しとが心地よい。特に、会津の酒のように香りも旨味も、口当たりの良さまでも同時に楽しませてくれるお酒との相性は抜群。お酒の〆はラーメンも良いのですが、私にとっては、やはり冷やした蕎麦が格別です。それが会津の蕎麦なら、なお言うこと無し。

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今回も、fukunomoを存分に楽しませて頂きました。そして、飲みながら書いているうちに4合瓶は早くも空瓶に。それだけ、この「会州一生酒 純米原酒 初しぼり」は飲み飽きず、口当たりも良く、香りも高い。心から「美味しい!」と思えるお酒です。特に新酒・生酒が持つ特有の魅力を最大限に引き出した上に、欠点を感じさせないこの造りは、特筆に値すると思います

 

今、この時期、fukunomoだからこそ楽しめる酒とペアリングがあります。今月は特に誰しもに勧めたい美酒ですが、新酒が好き、生酒が好き、という方には尚更、この味をぜひ楽しんで頂きたい。今月も、ごちそうさまでした!(*´▽`*)

<fukunomoお申し込みのご案内>


みなさまからの応援もあって再開したfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?

 

特に今回の再開は、新型コロナウイルスでの影響から立ち直ろうとする福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する一面もありますので、ぜひご利用頂ければ幸いです。

この記事を読んだ方には、fukunomoスタンダードコース、またはプレミアムコースお申し込み時にクーポンコードに【林智裕】と入力頂ければ、それぞれのコース別に特別なおまけも付いてきます♪

 

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