にじみ出てくるような旨味とともに身体にじんわり染み渡って飲んだ人を虜に…〜fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り (2019年3月号 | 花泉酒造合名会社) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

にじみ出てくるような旨味とともに身体にじんわり染み渡って飲んだ人を虜に…〜fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り (2019年3月号 | 花泉酒造合名会社)

今月のお酒は「純米酒 花泉」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました!
今月のお酒は、南会津町南会津町に位置する花泉酒造合名会社さんから『純米酒 花泉』です。
花泉酒造もち米四段仕込みの甘口で有名な『ロ万』シリーズで全国的な憧れの的となっている酒蔵ですが、今回は福島県内で愛飲されている代表銘柄の『花泉』。林さんは『純米酒 花泉』の魅力をどのように表現してくださるのでしょうか。それではご覧ください!
※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第17回目】

3月です。すっかり春めいてきましたね。今年の3月は例年以上に早い春の訪れを感じます。福島でこの時期、こんなに暖かいのは珍しいかも。
さてさて、今月ご紹介するのは先月の会津酒造さんと同郷で、雪深く、長い長い夜の時間に囲炉裏を囲んで寛ぎながら、じっくりと語り合うような場にピッタリな」南会津のお酒。『夢と“ロマン”あふれる酒造りを目指しています』と語る、花泉酒造合名会社さんから「純米酒 花泉」のお届けです!

「花泉」──。
饒舌に語らずとも深く大きな存在感を感じさせる、やや華やかな味わい。冷やして良し、ぬる燗も良し。熱燗も良し、常温でも良し。とても懐の広いお酒です。一口、また一口といつの間にか盃が進み、にじみ出てくるような旨味とともに身体にじんわり染み渡って飲んだ人を虜に…までは良いのですが。
手に入らない。
これがなかなか、手に入らないのです…。
実は、「花泉」の名は、日本酒通の間では全国区でも言わずと知れたあまりにも有名なお酒。
しかしながら、奥羽山脈と越後山脈に囲まれ、交通の便がお世辞にも良いとは言えない奥会津で醸される「秘酒」は、地元の杜氏、地元の米、地元の水にこだわって醸し出される、生産量も流通手段も限られてくる逸品。
一時期、特に10年くらい前などは地元でさえ「幻の酒」という扱いをされており、あの新潟の「越乃寒梅」が大流行した時期に匹敵するほど入手困難なお酒でした。最近になってようやく福島県内であれば僅かに手に入れやすくなってはきたものの、今もなお、高い人気を誇っています。
それにしても、ひと昔前はまだ、今ほどには福島の酒の美味しさが全国には知られていなかった時期。この「花泉」は福島の酒の魅力をいち早く全国に知らしめた銘酒…ともいえるスゴいお酒なのです。fukunomoユーザーの中には、この「花泉」の順番が回ってくるのを心待ちにしていた方もいらっしゃることでしょう! お待たせいたしました!
では、さっそく「花泉」を開けていきましょう♪
一口、含むと。マスカットを手絞りしたかのような、爽やかで甘い新鮮な風味が口の中にじゅわぁ…と広まります。とはいえ「甘口」という印象でもなく、続いて王道の日本酒「らしさ」が来る。特に、少し熟成期間を置いた29BY(醸造年度が平成29年なので、発売までに蔵元でじっくり熟成させた酒です)ならではのブレない芯の強さと貫禄のようなものを感じさせて心地良いですね。後味には、やや強めながらも柔らかさを感じる酸味でフィニッシュ
しかしこのお酒、よく見ると精米歩合は65%。この精米歩合であれば一般的なお酒では、アルコール特有のツンとした匂いや少しヒネたような──人によって好みがわかれやすい力強さ、いわゆる「雑味」を本来もっと感じさせるはず。ましてや熟成期間を置いたならなおさら。なのに、この酒にはそういうモノを多くは感じさせない。
…いや。より正確に言えば、このお酒から「雑味」が消えた訳では決してなくて。
米が持っている複雑な味の要素のほとんどを酒全体の設計にパーツとして上手に組み入れた上で調和させている、と言ったほうが良いのかもしれませんね。
これは書いてしまうとあまりにも「当たり前」のようですが、このように酒の中にある無数の個性がかみ合うようにし、味わいのポテンシャルを最大に引き出すための絶妙な采配こそが酒蔵の腕の魅せどころ。精米歩合がおさえめ(あまり削っていない)の、味の要素がたくさん残されたままの素材から醸した酒ならばなおさら。特に日本酒の味を決めるのは素材の良さが「3割」、技術が「7割」と言われている世界です。(ワインの場合この比率が逆だとも聞きます)
もとより福島の酒の本懐は、そういう「雑味」こそを、むしろかけがえのない個性と魅力に変えてしまうトリックスターのようなところにもあります。福島の酒が「日々の晩酌酒すらやたらと旨い」といわれる所以ですね。
今世紀には福島県ハイテクプラザなどの助けもあって技術向上が全体的に進んだことで、そうしたもともとの「強み」「本懐」が生かされたまま、福島の酒はますます美味しくなってきています
そうした中でも、この花泉の一際のキレイさと香り高さ。そこにはもはや、吟醸酒のような貫禄すらあります。さすがは音に聞こえし花泉。お見事です。( *´艸`)
では、続けて今月のおつまみとのペアリングも見てみましょう。

今月のマリアージュ/ペアリングセットは


・花泉の酒粕を食べて育った牛肉の佃煮
・豆腐のうす揚げ
・きゃらぶき
・いか大根
・金子牧場のヨーグルト
一品目は、今回のfukunomoのためにあつらえた「牛肉の佃煮」。

地元の大阪屋精肉店さんが自ら育てた牛を佃煮にしたものです。畜産農家が精肉屋さんも兼ねているというのは、スゴいですね。。。
「牛には地のものを食べさせる」考えのもとで、他でもない、この地元酒造花泉さんの酒粕を食べさせて育てた牛を使ったとのこと。料理の際にお酒と同じ材料を下味に合わせるどころか、素材を育てるところから合わせる。これは貴重な組み合わせですね。というか、精肉店と畜産農家を兼ねているからこそ、この豪華な一品がfukunomoに入れられたのでしょうか。国産牛の佃煮…って、普通に考えたら結構なコストかかりますからね。
食べてみると…うん! 強めの味付けですが、牛肉自体の味もかなりしっかりしている。
爽やかなだけでも、味わいが太いだけの味わいの日本酒でもない、この花泉だからこそ生きてくる絶妙なペアリングが味わえますね。
言ってみれば、焼肉にも負けない芯の強い味わいと同時に、焼肉に合わせて心地良いビールのような爽快感の両方を併せ持つような。いいですね!この組み合わせ。美味しいです。(*´▽`*)
そこに奥会津の「きゃらぶき」を混ぜると、これがまた絶妙な食感も追加されてさらに良い感じに。ただ、ちょっと塩気が強くなるので、シンプルにゆがいた豆付きモヤシなどをあわせてあげるとなお良いかも知れませんね。そこに半熟卵なんかも入れて丼ものにしてあげたら、和風ビビンバ丼みたいにもできるかも?

この「きゃらぶき」は単品でもとても美味しいけど、料理のレパートリーも増えそう。きゃらぶき自体にかなり強めの味がついているから、これと一緒に豚肉を炒めたり、刺身サイズに切ったブリと刻み生姜と一緒に炒めてみたりとか…。いろいろお酒が進むメニューに応用が利きます。この「きゃらぶき」いいな。今度自分でも買ってこよう。(´艸`*)
そして、このあぶらげ

お酒と合わせると、かりかりじゅわー。かりじゅわ。香り立つ油とジューシーな素材の旨味。それが、口の中でお酒に溶け込んできて…たまりません! なお、「きゃらぶき」はこっちと合わせてあげても美味しいですね♪
この「南会津のきつね」は南会津町に暮らす地域おこし協力隊の方が、廃業する豆腐店を引き継いでオープンさせた新しい豆腐店のものなのだとか。
この地域の豆腐はもともと、南会津の清廉な清水で造りあげる「川衣豆腐(かわぎぬとうふ)」として有名であったらしく、花泉さんの蔵元も昔、祖父の家でこの川衣豆腐を食べていたそう。喪われつつあった伝統が復活!ということで、蔵元はじめ地元の方にとっても感動につながる一品です。
ちなみにコレ、薄く揚げてあるので、あぶらげの中でも特にカリカリでおいしいところだけを集めたというか、おつまみに合わせるのにかなり良いのでは。
いずれにせよ、fukunomoでないととても手に入らなかったレアな品物ですね。ぜひ、今後も南会津の名品として推していってもらいたいところ。
ここに、さらにまだおつまみがついてきます。今月、ちょっといつも以上に豪華じゃないですか??(笑)
会津のお味噌で有名な会津天宝さんから、昆布仕立ての「いか大根」。

会津は野菜がとっても美味しい地域でもありますので、こういう加工品もやはりとっても美味しいのです。
いかと昆布の旨味がぎゅーー…っと閉じ込められたパリパリと心地良い食感の大根は、ご飯のおかずにもピッタリ。もちろん、イカとか昆布だしが日本酒に合わない訳がないのです。お酒のアテにもピッタリです。
最後の〆は、会津下郷町、金子牧場の「ジャージープレーンヨーグルト」。

ホルスタイン種ではなく、ジャージー牛のミルクを使った贅沢ヨーグルトです。「金子牧場は、会津下郷の高原にある緑豊かな牧場です。健康的に育った人なつこい牛たちが、私たち家族と一緒にしあわせに暮らしています。」というパッケージの文言。
「人なつこい牛」。その言葉だけで、なんだかこちらまでしあわせな気持ちになってきますね。
このヨーグルト、福島県が主催した県産農林水産物の6次化商品を対象にした「ふくしま おいしい大賞2014」の、菓子・スイーツ部門で大賞を受賞したという逸品。
食べてみると、無糖なのにほんのりと甘い。口当たりはまるでチーズのように滑らか
フチのあたりに固形物がついているのは、牛乳を自然のまま均質化させず発酵させているのかな? こういうの、かなり美味しいですよね。(´艸`*)
酸味はあくまでも自然な優しい酸味に抑えられていて、クリーミー。お酒やおつまみの強い味に染まった口の中を、優しくリセットさせてくれます。〆といったものの、途中で少しずつ食べても良いかもしれません。
さて、今回は日本酒通にはおまちかねの花泉さんのお酒をご紹介させていただきました。今回は特に、お酒はもとよりおつまみも豪華な感じがしますね! ぜひみなさま、美味しく楽しんでくださいね。ごちそうさまでした!

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今回もご紹介させて頂きましたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
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