会津の良さを全力で味わう気満々の贅沢セット!~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年12月号|豊国酒造) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

会津の良さを全力で味わう気満々の贅沢セット!~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年12月号|豊国酒造)

今月のお酒は「純米吟醸 ばんげぼんげ」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomoを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました!
福島県内には、「豊国酒造」が2つ存在しています。
今回特集するのは、「豊久仁」「學十郎」などが代表的な銘柄の豊国酒造、通称「会津豊国」。お酒は、『ばんげよいとこ』を意味した造語を冠した商品「ばんげぼんげ」です。
(「東豊国」「超」「一歩己」が代表的な銘柄の、古殿町の豊国酒造、通称「東豊国」の特集記事はこちらから。)
年越しらしいメニューに、林さんの筆も唸ります。どうぞご覧ください!
※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第14回目】

こんばんは。今宵もfukunomo12月号のお時間がやってまいりました。
山の上が真っ白になり、いよいよ本格的な冬の訪れ。各酒蔵も、新酒造りに大忙しの時期ですね。
この冬の訪れを楽しませてくれる、平成最後の年末を飾るお酒は会津坂下町豊国酒造さんより純米吟醸「ばんげぼんげ」。一般公募から寄せられた名称とのことですが、「さかした」と呼ばれてしまいがちな会津坂下町からの「ばんげ」だ!! という強い主張? 叫び? を感じますね。(笑)
なにより、なんとも軽やかというか、楽しげというか、耳に残る名前。一度聞いたら忘れにくいですよね。( *´艸`)
この酒を醸す豊国酒造さんは、文久2年(1862年)の幕末動乱期の創業。
会津坂下町中心街の通りの片隅で、昔ながらの雰囲気を今も残す酒蔵さんです。
ちなみに、この通りには他に「飛露喜」で有名な廣木酒造さん、「天命」「一生青春」などで大人気の曙酒造さんもあり、それぞれが歩いていける距離にあります
日本酒以外にも、美味しい醤油や味噌の醸造元である会津高砂屋さんや八二醸造有限会社さんまでもが同じ通りに軒を連ねている有様。会津高砂屋さんは平成28年に醤油で農林水産大臣賞(日本一の称号)を獲得、八二醸造さんは人気アイドルグループTOKIOに醤油造りを伝授したり、彼らのテレビ番組中の企画「DASH島」での味噌製作用の種麹を分けたりしている老舗の醸造元です。これらがすべて同じ通りの、すべて徒歩圏内。会津坂下町、いったいなんなの……(;´・ω・)
その一角となる豊国酒造さんも当然、驚くほどの実力蔵。昔ながらの「手造りの酒」へのこだわりと、福島県が誇る清酒アカデミーなどの技術的裏付けとが融合した、繊細にして雑味が少ない清らかな酒を造り出し続けています。その結果、近年に新酒鑑評会で9年連続金賞という凄まじい記録を打ち立てていたりもするのです
ご存知のように鑑評会の金賞取得は非常に難しく、出せば通るというようなものでは到底ありません。全国各地それぞれの酒蔵さんから最高の酒だけを集めて(しかも蔵の規模の大小にかかわらず、一つの蔵から出せるのは選りすぐりの最高の一品のみ、というルール。)、その中から入賞できる酒は約半数のみ。金賞を獲得する酒となると、その入賞酒からさらに約半数に絞られてしまう…という、あまりにも厳しい関門です。どんなに優れた酒造さんであっても、金賞が毎年獲れるとは限りません。
そうした中で、豊国酒造さんは今年5月に発表された最新の結果でも、またしても金賞。加えて、国内のみならず海外のコンクールなどでも非常に評価が高い実力蔵です。会津坂下町、いったいなんなの……(;;´・ω・)
さて。それでは今月もそろそろ、お酒を開けていきましょう。( *´艸`)

今回のお酒は、いつものスクリューキャップではなく、一升瓶と同じ口金。金色の豪華な包装を解いて、栓を抜きます。
とぽ、とぽ、とぽ……とお酒を注ぐのは、いつも本当に新鮮な気持ちになれますね。しかしこのお酒、新鮮な気持ちにさせてくれるのは注ぐときだけではなく、その味わいも正に、でした。
口に含むと…これは実に、透明感あるお酒。香りは控えめで、凛とした…。以前飲んだ、郡山市渡辺酒造本店さんの雪小町さんの大吟醸にも似た、清廉な淡雪のような味わいがありますね。それでいて、最後の後味には名残雪のような残り香が漂う…。ひらひらと雪の舞うような、まさに冬をイメージさせるような可憐で澄んだ味わい
…そして、ちょっと危険なお酒ですね。(笑)
乾いた身体に雪解け水が沁み込むかのように、気付くとついつい飲み過ぎてしまうというアレです。クセがあまりなく、しかし、すーーーー…っと後味に抜けていく香りと味わい。
この純白無垢のようなお酒を楽しむのは、夜のうちに降り積もった新雪を静寂の夜明けの薄明りの中で愛でるかのように美しく。
コレにおつまみを合わせるのも、積もったばかりのふかふかの雪に初めての足跡を付けていくかのような気持ち良さがありますね。踏みしめようとする足跡に合わせて、新雪が形を変えていくように。ペアリングやマリアージュによってこの酒がどんな表情を見せてくれるのか。楽しみですね。

今月のマリアージュ/ペアリングセットは


・にしんの山椒漬け
・いか人参
・ふきのとうの佃煮
・会津郷土料理 こづゆ
・奥会津山芋蕎麦
さて。今回のおつまみセットですが…会津の郷土色がかなり強いラインナップですね。この時期ならではというか、お正月料理まで入っています。会津の良さを全力で味わう気満々の贅沢セットですねー( *´艸`)
では。最初にメインとなるにしんの山椒漬から。これは会津の伝統的な郷土料理であり、名産品でもあります。

早速、ワクワクしながら口に含むと。
生と乾物のイイトコ取りしたような、セミドライに濃縮されて旨味の塊となった鰊の味わいが、じゅわじゅわー……。そこに山椒の爽やかな風味が吹き抜けます
ああ、コレコレ。会津の味わいですなぁ…。
ここにお酒を合わせると、今度は雪のようなキリッとしたお酒の表情と噛みしめるような旨さ、酸味とが合わさって、じわじわ、すーーー…っ、じわじわ
一口ごとに、きゅっ、きゅっ…っと新雪を一歩一歩踏みしめていくかのような心地良さと満足感が走ります。きもちいい…。
山椒の葉もこれだけ大きく入っているのは、味だけでなく見た目としても美しい。会津の文化の薫りというか、奥深さを感じます。fukunomo、地域文化がそのまま送られてくるというのは、なんとも言えず優雅というか、粋ですなぁ…。(´艸`*)
それに続くのは、福島名産いかにんじん。松前漬にも似ていますが、細切りしたスルメイカと人参を合わせたものです。今回のいわきの西野屋さんバージョンだと、切昆布も合わせてありますね。

「いかにんじん」は福島県の中通りや会津地域のお正月料理なのですが、今では愛好家も多く、一年中楽しむ方も増えています。
何年か前にはカルビーさんやおやつカンパニーさんから、福島のいかにんじん味ポテトチップスやベビースターラーメンが限定発売。当初の予想を大幅に上回るほどの大好評で増産に次ぐ増産となり、生産が間に合わなくなったことなどもありました。
このいかにんじんするめいかの旨味と漬けダレと絡んでほのかに甘いにんじんのシャッキリした歯ごたえが合わさって、クセになります。ハマる人はめちゃくちゃハマるので、震災後には福島のいかにんじんが忘れられなくなってしまった県外の方も結構いたりするのでした。中通りでは、お酒のおつまみにも割と定番ですから、もちろん今回のお酒にもピッタリ。
ここで次に箸をつけるのは、ふきのとうの佃煮

口にすると最初に先立つのは、少し強めの苦さ。しかし、これはビールで言うホップのような心地良さです。味わいだけでなく、ホップはよく見るとふきのとうに少しだけ似ている…? かもしれませんね。
ビールにホップが欠かせないように、このほのかなアロマ感漂う重厚な苦みが綺麗な透明感あるお酒のアクセントになってくれて、これがもう! 堪えられません! ついつい箸が進みますね(*´Д`)
ふきのとうの季節まではまだ先ですが、雪の下で春を待つ味わいを淡雪のようなこのお酒と合わせるのは、実にオツなものです。
口に広がった苦さを中和するように、次はこれも会津のお正月料理である「こづゆ」。ホタテの貝柱で出汁をとった艶やかで上品な味わいの、具沢山の贅沢な汁物であり、会津ではハレの日などのめでたい席ではこの「こづゆ」が欠かせません。会津の土産物の中でも、「こづゆ」はちょっと贅沢品なのです。

それにしても毎度のことながら、今回のペアリング・マリアージュにも、味の方向性の多彩さがバランスよく考えられていますね。
鰊の山椒漬からは、じわじわと滲みでる強めの旨味と爽やかな酸味。
いかにんじんの歯ごたえと甘しょっぱさ、僅かな苦み。
ふきのとうのアロマ感ある苦み、こづゆの甘味と旨味。
限られた条件の中で出来得る限りの繊細な設計や込められたメッセージ性に、とても感服します。これが自宅で愉しめることに幸せを感じますねー。
そして最後の〆は、南会津町田島の奈良屋さんから、「奥会津山芋蕎麦」。いやー、私、奈良屋さんのお蕎麦が昔から大好きなんですよ。

私は普段、お蕎麦は冷蕎麦で食べることがほとんどなのですが、今日は「にしんの山椒漬」もありますからね。残しておいた山椒漬をのせると、ここでさらに会津名物の鰊蕎麦までできちゃう訳です。まさに会津名物尽くし
冬でもありますから、温かいお蕎麦もたまには良いですよね。
そうそう。温かいお蕎麦にするときにも、蕎麦は茹でてからちゃんと一度冷たい水できちんと洗って、改めて軽く湯通ししてくださいね? 茹でたままをそのまま食べるのに比べて、蕎麦のコシや香りが、全然違いますから。
熱々の蕎麦つゆにシャッキリと喉越しの良い蕎麦を入れて、先ほど残しておいた鰊を入れると、温かさで融け出した鰊と山椒のうまみが今度は蕎麦と絡んで、これもまた絶品!
お酒で火照った身体を冷やすことなく、心地よいのど越しと香りがずずーーーーー…っと、これまた沁みていきます。
冬の寒さで冷え切った身体と心に、お酒の〆に、じんわり。ありがたいなぁ…。
お蕎麦といえば、もう間もなく年末になってしまいますね。本年もfukunomoと私の記事にお付き合いくださいまして、誠にありがとうございました。
来年もぜひ! またよろしくお願いしますね。
それではみなさま、良いお年を~~♪ (*´▽`*)

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