一足早い春をお届け 新酒と福島すきやきのマリアージュやいかに!?「大俵引き 純米おりがらみ生」~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2017年12月号|曙酒造) - fukunomo(フクノモ) ~福島からあなたへ 美酒と美肴のマリアージュ~

一足早い春をお届け 新酒と福島すきやきのマリアージュやいかに!?「大俵引き 純米おりがらみ生」~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2017年12月号|曙酒造)


今月も、福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@sake_kaeru)が、fukunomo2017年12月号(曙酒造特集)を体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました。福島の酒・食に対する愛情が溢れた文章、どうぞご覧ください。
※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第2回目】

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新年あけましておめでとうございます!みなさま、年末年始は、美味しいごちそうを沢山お召し上がりになりましたでしょうか。
さて、前回の純米酒「百十五」の記事を楽しんでくださったみなさま。本当にありがとうございました!お酒とおつまみのマリアージュ・ペアリングはお楽しみいただけたでしょうか。記事を読んだ方からは、県外の宴会へのお土産に「百十五」を持っていったら絶賛された!との嬉しいご報告も。Fukunomoで毎月色んなお酒を知って、お気に入りを沢山見つけて頂ければ本当にありがたいですね。^^
という訳でご好評頂けたので単発で終わらず(笑)、今回は引き続きfukunomo12月号、曙酒造さんの新春限定生酒「大俵引き 純米おりがらみ生」もご紹介しちゃいます♪

・今月のお酒 「大俵引き 純米おりがらみ生」

今回のお酒は、おりがらみ生。
…おりがらみって何?と思われた方。疑問を持ってくださってありがとうございます!
これは、長期にわたって品質を安定させるための「おり引き」という普通行われる処理をしていない、薄い濁りが混じった本物のしぼりたての生酒そのまま…というお酒。かつては蔵人やそれに近しい人でなければ中々味わえなかった正真正銘の初物をそのまま味わえるような、贅沢なお酒なのです。
それはいわば、かつては漁師とその家族くらいしか味わえなかったとっておきの地魚の、鮮度抜群の刺身のよう。大量に販売される量販店で見かけることは稀で、専門店でも、そう大量にお目にかかれるものではありません。曙酒造さんのお酒を愛飲している福島県民は珍しくなくとも、このおりがらみ生までをも楽しんでいる方は多くないでしょう。
Fukunomoでは現地の福島県民にとっても入手困難な、こういうお酒までをもお送りしてしまっているのですねー。限定品でもありますし、これ、もう一本!のおかわりを他で探すのは、実はちょっぴり大変ですよ…。
・それでは、さっそくお猪口に…
瓶を開けてお猪口に注ぐと、フレッシュな香りが立ち上っていきます。香りが立ちやすいよう、とっくりに一度移した上で少し高いところから注いであげると尚良いかもしれません。
この香りは、まるで花がつぼみから開いていくかのよう。いいですねー。実に心地良いです。気分が華やいできます。^^
さらには、お猪口を光にかざすと透明感の中に淡雪のように舞うほのかな白を楽しむこともできます。雪の季節ならではの美しさすら感じさせる幻想的な酒は、「大俵引き」という縁起物のネーミングと併せて、新春の慶事を積極的に愉しむためには、まさにうってつけのお酒。
それでは、いよいよ飲んでみましょうか♪
口に含むと、まずは期待通りの爽やかさ。そうそう、これが欲しかった…というような新酒ならではの生き生きした香りが口いっぱいに広がります。まさに、初物を頂く歓び。もぎたての果実のよう。それから僅かに遅れて、微かな酸味と酵母の匂い。口の中で、きゅうぅぅっと幸せを噛みしめるような味わいです。
しかしその香りのあとには芯の強さを感じさせるような、優しく微笑みかけられるかのように穏やかな旨味が。この酒もまた、まさに福島の酒「らしさ」のある素晴らしい特徴ですね。
生酒である以上、最初はかなりすっきりとした印象を感じます。なのに、同時にじっくり呑める酒でもある。矛盾するかのようなこの味わいが絶妙のバランスで実現できているのは、曙酒造さん流石の実力です。
ヴェールのような華やかな香りと優しさがありながらも、しつこくないので飽きさせない。気高さと強さにも似た、確かな技術の裏付けをヒシヒシと感じさせます。

・今月のマリアージュ/ペアリングセットは

そんな素敵なお酒に今回合わせるのは……すき焼き
寒い季節に身も心も温めてくれるすき焼きは、冬場のちょっとした贅沢ですね。
しかも今回は、普通のすき焼きに比べると随分と変わり種のものです。ここにもキッチリと福島ならではのものを合わせてくるのが、fukunomoの面白いところ。実に楽しませてくれます。
今回メインとなる野菜は、ネギ。…と言っても、これも普通のネギではなく、会津の銘品「とろねぎ」。その中でも1月~2月期のこれは、瑞々しくて甘~くとろける「雪下とろねぎ」と呼ばれるものです。
通常、ネギは雪が降る前に収穫するものですが、この品物は雪が降ってからが本領発揮。じっくりと熟成させて旨味を引き出した贅沢な逸品です。
ご存じのように、最近ではお肉などにも「熟成肉」ブームがきています。熟成することで、その食品が本来持っている力と可能性を最大限に引き出し、より深い味わいと魅力を楽しむことができたりするのですね。
特にこのネギには「雪下とろねぎ」との名前が付いている通り、熟成には天然の雪を利用しています。響きからして、すでになんだかステキじゃないですか。
醤油などでもときどき「雪室熟成」なんて言葉を聞きますが、雪の中は一定の温度と湿度が保たれた、いわば揺りかごのよう。ここでじっくり時間をかけて優しく大切に育てあげ熟成していくのです。
そうやって出来上がるこのネギは、雪深い会津の風土ならではの特性を生かした、野菜とは思えないほどのとろーりとした甘みと旨味が詰まったネギ。バーベキューやすきやきなどで火を入れれば、外はしゃっきり、中はとろっとろ。もう、たまりません!ネギにこんな魅力があったなんて…と驚くこと請け合いです♪

そこに合わせるお肉は……びっくりするかも知れませんね。なんと、馬肉です。食べたことない人もいるでしょうか?
会津は熊本などと並び、国内有数の美味しい馬肉文化があります。

ちなみに、福島県の広さと多様さを感じるエピソードの一つとして、馬に対する姿勢の違いがあります。
浜通りの旧相馬藩領では、馬は神事にも使われる神聖な存在。国の重要無形民俗文化財に指定されている相馬野馬追(そうまのまおい)では、勇壮な騎馬武者たちの大切なパートナーとしても欠かせない存在です。そんな馬を食べるなんてとんでもない!という人も結構いたりします。
中通りでは一般的に馬といえば駆けるものであると共に、賭けるもの。福島市には東北で唯一のJRA、中央競馬の競馬場があるのですね。(笑)
その一方で、会津地域は国内有数の馬肉名産地。美味しい馬肉が沢山食べられます♪特に、他の地域ではあまり見られないニンニク入りの辛子味噌を付けて食べる馬刺しを会津のお酒と合わせたときの相性は、最高!のひとこと。
こうして並べてみると同じ県内とは思えないくらいですよね。
さて!この馬肉ですが、高タンパク低脂質で健康的。なによりもクセや臭みが無く、美味しい!のです。難点を一つ言えば、良質な馬肉はたいへん貴重なものであり、かなりの高級品であることでしょうか。グラム単価では一般的な黒毛和牛よりもお高いほど。
今回のfukunomoには、年末ならではの豪華さというか…お値段そのままで、そんな馬肉が鍋用として入ってきてしまっていたのでした。これは割と驚いても良いと思う。商売的に、いいのかそれで…。(笑)
・お酒と合わせてみると…

雪下ネギと馬肉。これをあまじょっぱいすき焼きにして、素材の旨味を楽しみます。
なお今回の私の場合、これを試すときに、たまたま一緒に食べる人数が少し多かったので、自分で具材を少し足してアレンジ。福島県三春町の名物三角油揚げを入れて、さらに同じく福島県相馬産のドンコ(エゾイソアイナメ)という福島の浜通りではポピュラーな地魚のキモを使ったつみれも入れてみました。この魚のキモも、アンコウ肝のようにかなり味が強く美味しいのです。
じっくりコトコト煮立ったら、最後に生卵をといておいた取り皿に投入。あとは、ハフハフしながら美味しく頂けば完成です♪
実際にすき焼きと合わせてみると、今回のお酒、「大俵引きおりがらみ生」の一口目に来るすっきりした味わいは、冬場にはビール代わりの乾杯酒にしても良いくらい。特に今回のペアリングのような鍋物のほっこりした味わいには、爽やかな旨味と酸味、柔らかな香りが合わさり、心も身体も満たされていくかのような多幸感が味わえます
それはまるで、一杯飲むごとに、凍えたマッチ売りの少女が一本のマッチに火を灯すかのよう。次の一杯、次の一杯…と。このままでは、ありったけのマッチを燃やし尽くして炎上させる勢いで飲んでしまいそうですけどね。
さて、今月号には他にも相馬の「爽辛しらす」二本松の「ごぼうこんにゃく」が入っています。まず1つめの「爽辛しらす」は、しらすにピリ辛の辛味と酸味をのせた新商品。

実は一般的に、爽やかな味わいの生酒には、「酸味」を合わせるのも一つのポイントです。(たとえば、ワカサギやイワシの南蛮漬けなども非常に良い相性です)こうしたものを合わせるとお酒とおつまみの爽やかさが共鳴しあって、味わいがより楽しめるのですね。
ですから、今回のすき焼きのほっこり味にコレが加わるのはかなりポイント高いです。余ったらご飯のお供にも良し。

もうひとつ、「ごぼうこんにゃく」。こちらはすき焼きと同系統の甘辛い味わいを、違った角度からアプローチするものですね。こんにゃくとごぼうの歯ごたえがたまりません!
おっと、ついつい長く語りすぎてしまいましたね。(笑)
今回のfukunomo12月号も、こうして大変美味しく頂きました。次回はどんなお酒とおつまみの組合せが楽しめるやら。楽しみですね♪

<fukunomoお申し込みのご案内>

11月号に続いて、12月号もご紹介させて頂きましたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
今なら、fukunomoスタンダードコース、またはプレミアムコースお申し込み時にこの記事を読んだとご連絡頂ければ、それぞれのコース別に特別なおまけも付いてきます♪(他にも特典?として、反響が良ければこの飲んだくれレポート企画がまだ続くかも知れません(笑))
詳しくは、こちらからお問い合わせ下さい。お待ちしています。^^

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(お申込みは2018年2月20日まで。それ以降のお申し込みは、2018年3月号からの発送となります)