月の下で、今宵も一献~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年9月号|寿々乃井酒造店)

今月のお酒は「寿月 自然流 特別純米酒」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@Nonbeekaeru)が、fukunomoを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました。
今月は天栄村を中心に古くから愛されている寿々乃井酒造店。林さんの愛も負けていません!それでは、今月のレポートをご覧ください!

※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第11回目】

9月になって、朝晩涼しい日が続いてきましたね。先月までの暑さが嘘のように、すっかり秋模様を感じ始めました。
秋と言えばお月見であったり、紅葉であったり。風流を感じさせるようなことが目白押し。「食欲の秋」なんて言葉もあるくらいですから、美味しいものも目白押し! です。

さて、そんな初秋になった今月お届けするお酒は、寿々乃井酒造店さんから「寿月(じゅげつ)自然流 特別純米酒」。お月見の季節にもぴったりの名前ですね。

寿々乃井酒造店さんは福島県南部、白河街道沿いに位置する天栄村にある酒蔵さんです。
天栄村は一般にはあまり知られていないかも知れませんが、通の美食家の間では非常に高い品質の米を作ることで良く知られた村。
たとえば米食味鑑定士協会に主催される米食味分析鑑定コンクール国際大会では、村で作られたコシヒカリが「世界一」と言える最高評価を何度も何度も獲得しています。

そのため「天栄米」は、限られている僅かな生産量ではとても間に合わないほど人気が高く、現地や一部百貨店などで時折販売されていることもあるものの、高価な上に入手はかなり困難。基本的には県外不出と言えるような希少なお米です。

今回お届けする寿々乃井さんのお酒もまた、そんな天栄村で作られた米から醸されている訳ですから、当然お酒も原料と同様に生産量は限られてくる訳です。
地元でそのほとんどが消費され尽くしてしまい、県外で見かけることは稀。

…しかもですね。
この寿々乃井さんのお酒が、これがまた、当然ながら美味しくて!
それはそうですよね。最高のお米が収穫される、舌が肥えている地域の人達に愛され続けているほどの味わいなのですから。
しかもその味わいには個性があり、他に似ているお酒があまりありません。この蔵でしか味わえないという強みも持っているのです。まさに理想的な「地酒」と言えましょう。

寿々乃井さんのお酒は、県外はもとより、福島県民でさえなかなかお目にかかれない貴重なお酒です。中でも「寿月」というブランドは、今世紀になってから特別に造りはじめた新ブランドで、新しい時代を感じさせる味わいのお酒です。私個人にとっても、プライベートでもお気に入りの秘蔵の一本。
今月お届けするお酒は、まさにソレ。fukunomoご愛好の方々であれば、たとえ県外でも届いちゃいます。またしても、これだからfukunomoってヤツは…!

今月のお酒 寿月 自然流 特別純米酒

では、今月も早速開けてみましょう。
センスを感じさせる、端正なラベルデザイン。いつもながら、見た目からも楽しませてくれます。綺麗なものを目にすると、それだけで嬉しくなりますよね。名前も素敵です。このお月見の季節に静寂の中で虫の声を聴きながら、寿月で、月を見る。そして寿を見る。実に風流、季節感を感じさせます。
これを今回は、とぽとぽ…とワイングラスに入れて。
何故ワイングラスかというと、このお酒。香りが高めなので、今回はそれを最大限に生かすためです。

このお酒には、吟醸香をはじめとした日本酒ならではの味も香りもありますが、それだけではありません。味わいの最後に、独特の色香を感じさせるような、可憐な花の蜜のようにほのかに甘い、神秘的な香りがあります。それはワインともまた似て異なるのですが、しかしこのお酒をワインのような感覚でも楽しませてくれるのです。
立ちのぼるさまざまな香りが絡み合い、複雑な表情を織り成してきます。
これを口に含むと、繊細な香りをふんわりと束ねたような広がりを感じて、まるで花束のよう。しかし、決して主張が強すぎるキツいビビットな香りではなく、あくまでも優しく柔らかく、どこまでも繊細な香りのブーケ

続いて感じさせるのは、昔ながらの福島の日本酒「らしさ」。「香気」ともいうべきヴェールのようなやさしさと、ふくよかで上品な旨味がバランスよく調和した、魅力的な味わいです。伝統的な技術を、新しい味わいへと本当に上手に生かしていると言えるでしょう。

この、福島ならではの良さをしっかりと生かしつつ、あくまでも繊細に丁寧に、優しく洗練させた「ふくみ」のような味わい。この穏やかな味わいが、香りへと伴奏のように寄り添って、一つの旋律へと変わります
これならば、「アルコールの匂いがキツいのはちょっと苦手」という日本酒の初心者から「甘口は苦手だ」と言うベテランまで、幅広く楽しむことができます。
今まで一般的に多用されてきた「辛口」「甘口」の概念から外れた新しいお酒という意味では、以前ご紹介した峰の雪「斗南朱雀」にも通じるところがあります。地酒でありながらも、時代の最先端のお酒の一つ…です。

後味は柔らかな印象と甘い残り香を残心のように残しつつ、やや淡麗に、上品に抜けていく。
とても神秘的に洗練させた「美」。夜の月を想わせるようなイメージ。つまり、これはいわば、「夜想曲(ノクターン)」。
少し凛としたような、繊細な美しさを奏でる旋律を感じるのです。

もはやこのお酒だけでも素晴らしい演奏は完成してしまうのですが、そこはfukunomoです。ちゃんと今月も、ペアリングやマリアージュをしていきましょう。

今月のマリアージュ/ペアリングセットは

今月のメインとなるおつまみは、阿武隈川メイプルサーモンの缶詰。

メインがただの缶詰ひとつ…? と思ってしまうのは、まだまだ早い。私にとっては、やっと手に入った念願の本物の「阿武隈川メイプルサーモン」!なのです。
阿武隈川メープルサーモンは、ただの鮭缶ではありません。これは、福島県西郷村の林養魚場(←良い名前ですね!) がカナダのB.C.州カムループス地方原産のニジマスを、日本で初めて発眼卵で空輸し自社の養殖施設において孵化、育成した上で、何代もの選抜育種を繰り返してきたニジマスとの交配を繰り返すなど、品種の改良と養殖方法や餌の追求などによって作り出した大型のトラウトサーモン。一般的な輸入サーモンよりも身がしまり、生臭さは抑えられ、かつ脂ものった、いわばサーモン界の最高級和牛。独自の交配による品種改良がされているので、この林養魚場(←素敵な名前ですね!)以外では手に入らない最高級品です。

これを開けて、一口食べてみると……。かなりの強い味を想像していたにも関わらず、想像よりもさらに強い旨味。しかし、身がきっちりと食べごたえもあり、素晴らしい味わいです。寿月の強めの香りと合わせても、全く引けをとらず、邪魔もせず、共鳴してくれます。

続いては、黒胡麻れんこん

これも想像したよりもかなり旨味が強い。今回、今食べたメイプルサーモンといい、この黒胡麻れんこんといい、寿月の香りの強さに負けずに、しかし正面からぶつかり合わないおつまみが、かなり念入りに考えられているのではないかと感じます。花に花をより美しく添える、華道さながら。さすが、fukunomoですね…。

このれんこん、シャッキリしているのですが味が良く染みています。中華料理の甜麺醤(てんめんじゃん)に漬けこんだかのような強い味、心地良い酸味と少しスパイシーな辛味がお酒の柔らかさと上手に交じり合います
そしてこの味わいが引き金となって、「寿月」の中にまだ眠っていた強い「旨味」の蕾が、元の上品な香りはそのままに、一気に開花させられていくかのような感覚もあります。
淡く繊細な花を束ねたような可憐なお酒を、おつまみと一緒に口の中でギュ…っと絞り、溢れ出した蜜が、ジューシーにとろとろと滴ってくるような感覚。これは、ペアリングという以上にマリアージュ…という方が相応しいかもしれません。

次に味わう浅漬セロリは香味野菜のセロリを使ったおつまみです。

これもまた、寿月の香りにさらに一輪、花を添えるかのようですね。さらに、漬物にしたことで生セロリの粗を抑えてまろやかさを引き出してもいます。
この浅漬セロリに、お月見を思わせるような、少し季節感を感じさせる「ラジウムたまご」を一緒に合わせると、そこにさらにコク味もプラスされて味わいもより柔らかくなり、非常に味わい深くなります。これもまた、ジューシー。

ところで「ラジウムたまご」という名前にぎょっとする方もいらっしゃるかもしれませんが、このネーミングはかつて、福島市の飯坂温泉で日本国内では初となる天然のラジウム発見がされたことにちなんで名物の温泉卵が「ラジウムたまご」と呼ばれるようになったことが由来と言われています。

少なくとも福島市民は温泉卵のことを一般名詞として「ラジウムたまご」と呼ぶことが多いのですが、この飯坂温泉名物の温泉卵、一般的なものと比べてもねっとりとして味わいも強く、実に美味しいのです。
飯坂温泉の源泉がちょうど、温泉卵を作るのに適した環境にあることも一因なのかもしれませんね。

最後の〆には、平田村の「ごぼ〜のチップス」

実はこれ、元々結構好物でして。プライベートでも以前から良く買っています。今回は塩味ですが、ガーリック味もあります。
平田村の道の駅では定番のおいしさとなっていますが、一度食べたらやめられないとまらない、リピーターも続出で、大人気商品の商品ですね。
ただのごぼう…? などと侮ることなかれ。もちろん、この「寿月」に合わせても美味しさはひとしおです。

今回の「寿月」は私にとってもお気に入りの一本ですが、実は、今回のセットとは別に、もう一つ試して頂きたい飲み方があります。

今シーズンの福島では、日本酒を使った桃のサングリアが流行しました。中には、桃を入れて燗酒にした「桃の燗グリア」などというものも。これらに合わせると美味しいお酒の代表的な一本もまた、今回お届けした香り高い「寿月」なのです。

こちらの記事 ◆http://mediarocket.jp/6345
でも実際に紹介しましたが、記事の通りに「ももふる」などの冷凍桃を合わせるのも良し。燗グリアにする場合は、お酒の温度はあまり熱くし過ぎると寿月独特の神秘的な香りが飛んでしまうので、「上燗」(42〜45℃)くらいにすると、「寿月」の香りが最大限に引き出されつつ桃の香りとも共鳴して、夜想曲(ノクターン)からピアノ協奏曲に代わったかのような味わいの変化を楽しむことができます。

9月になっても福島の桃はまだギリギリで晩成種が楽しめますので、https://www.fukushimatrip.com/8762
ぜひ桃のサングリア、あるいは燗グリアを、この「寿月」と一緒に合わせてみてください。

それではみなさま、どうか素敵な秋の夜を、この一本と共に

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