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喜多方にあるものだけで造る、 本来の地酒を。大和川酒造店《福島県喜多方市》

(写真右)専務 佐藤 雅一さん
1980年生まれ。見聞を広げようと、東京でウェブデザイナーなどとして働いた後、大和川酒造店へ。専務として経営に携わるほか、営業担当として各地を飛び回っている。
(写真左)杜氏 佐藤 哲野さん
1984年生まれ。神奈川の大学で学んだ後、ものづくりがしたいと大和川酒造店へ。2014年より杜氏を務めている。

「蔵のまち」として、そして日本三大ラーメンのひとつ「喜多方ラーメン」で知られる、福島県喜多方市。
今でも町に立ち並ぶ蔵は、かつて醤油、味噌、そして日本酒の貯蔵庫として使われていたものです。

これらの産業を支えてきたのが、飯豊山から流れ出る伏流水。
江戸時代中期からこの地に蔵を置く大和川酒造店も、創業以来この清冽な水を使って酒造りを行っています。

今回お話を伺ったのは、現当主・九代目佐藤弥右衛門さんの息子、雅一さんと哲野さん。
経営と酒造りという異なる役割を持つお二人に、それぞれの立場から見た酒造りについて語っていただきました。

喜多方の“郷酒”

近年、「SDGs」「サステナビリティ」という言葉がよく聞かれるようになりましたが、大和川酒造では、ずっと前から“循環型”の酒造りを行ってきました。

「もともと酒蔵自体が、“持続可能な”存在なのだと思います。流通網が発展していなかった時代は、その土地にあるものだけで造るしかありませんでした。それが本来の地酒の姿です。大和川酒造はその考えを大切にしていて、喜多方の米、喜多方の水、そして喜多方の人で酒を造ってきました。それを “郷酒”と呼んでいます」と雅一さん。

大和川酒造の大きな特徴は、自社で米づくりから行っていること。
2007年に農業法人大和川ファームを設立し、酒米をはじめ、うるち米やそばなどを栽培しています。
2021年からは、定番銘柄『弥右衛門』はほぼ100%ファームの米で造られるようになりました。

杜氏を務める哲野さんは、「米づくり、酒造り、そして販売と、すべての流れを見られることが本当に面白いです。自分が田植えをした米で出来た酒を『美味しい』と言っていただけるのは、この上ない喜びです」と語ります。

どんな料理にも寄り添う一本

今月お届けしたのは、『弥右衛門 辛口純米 ひやおろし』です。
「ひやおろし」とは、冬に出来上がった酒に一度火入れをし、夏の間貯蔵庫で寝かせたもの。
ほどよく熟成され、味に丸みが出るのが特徴です。ラベルにも紅葉が描かれており、秋が深まるこの時期にぴったりのお酒です。

「どうしても、自分の好きな味に寄ってきてしまいますね」と哲野さん。「私はほぼ毎晩飲むので、飲み飽きしないものを……と考えて造りました。あまり主張はしないのですが、どんな料理にもすっと馴染む酒だと思います。常温や、温めて飲むのもおすすめです。お酒の柔らかさ、丸みが伝わるはずです」

大和川酒造が自らつくっている米の味をしっかり感じられる一本。
お酒だけで味わった後は、食中酒としてお料理と合わせてどうぞ。

大和川の酒を通じて、喜多方の良さを

雅一さんは、東京で働いた後、蔵に戻ってきました。一度外に出たことで、改めて喜多方の魅力に気がついたといいます。

「なんて恵まれた場所なんだ、と思いました。なんといっても、水がうまい。だから米も、そこから生まれる酒も、醤油も味噌も、ラーメンだってうまいんです。この地で酒蔵をずっとやってきたなんて、すごいアドバンテージだな、と実感しました」

杜氏である哲野さんは、米づくりを行っている大和川酒造だからこそ出来る酒を造りたいといいます。

「あえて酒米をあまり磨かず、米そのものを味わってもらえるような酒を考えています。田植えから乾燥、精米まで、すべて自社で行っているからこそ、大和川にしかできないことがあると思うのです」

一方の雅一さんは、「お客様に大和川の酒を飲んでもらえるなら、細かいことは気にしません」と。
ただし、「そのためには、大和川がどういう蔵なのか、喜多方がどういう場所なのか、自分たちのことをもっと発信する必要があります」と続けます。

そのためのひとつの方法が、「文化とつながる」。
酒造りだけではなく、米づくりだけでもない。喜多方の良さ、日本酒という文化を丸ごと伝えたい――。
異なる役割を担うご兄弟は、大和川酒造をどんなふうに進化させていくのでしょうか。

蔵の歴史の見学や、お酒の試飲・購入ができる「大和川酒造 北方風土館」は、観光スポットとして大人気。

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大和川酒造店 北方風土館
福島県喜多方市字寺町4761
TEL.0241-22-2233
http://www.yauemon.co.jp/

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