
今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さんが、fukunomoを体験しての感想&紹介をレポートしてくださいました!
【連載第83回目】
生酒のようなフレッシュ感と、口に含んだ瞬間に花開く強めの甘味。
基より会津中将には、月のように神秘的なイメージがある。
淡く柔らかく水面を照らし、寫(うつ)されるゆらめき。
同じ月でもこの酒は、さながら黄金色の満月を思わせる眩さ、円熟感がある。
綺麗でさらりと、雑味無き口当たりから広がる糀の香味と僅かな酸味。
柑橘を思わせるほのかな苦味。
後を引く、慈しむかのように深く深く、長い余韻。
古来より我々の先人は花鳥風月を愛で、その傍らには常に国酒たる日本酒が在った。
夏の夜の虫の音。蛍。吹く微風。ときに降る、雨の匂い。
望月にも似た、欠けたること無き美酒が傍らにあれば、いずれもまた、さらなり。
■今月の美酒
・会津中将 純米酒 <福島県会津若松市/鶴乃江酒造>

県内外で高い人気を誇る鶴乃江酒造さんから、会津中将純米酒。
この蔵が得意とする、慈しむかのような柔らかさ、僅かに陰を感じさせる神秘的な奥深さは流石の一言。じっくり、ゆっくりと口のなかで揺らめく香りと余韻、甘味、旨味、酸味、苦味、それぞれの協奏を楽しみたくなります。
今回の酒は、鶴乃江酒造さんの数々のラインナップの中では比較的コクの強さを感じさせる、芯がやや強めの酒。そのため合わせる肴や温度にもかなりの巾を持たせられます。冷、人肌燗、ぬる燗いずれでも楽しめる。ただ、季節とこの酒の持ち味を考えると「花冷え」くらいで味わうのが最も良さそう。
この酒の繊細で複雑な味わいは淡白で上品な食材と相性が良いですが、そうした中で「こりこりした食感」を加えてあげると良いアクセントにも。味の強弱だけでなく、食感にもフォーカスしたペアリングを考えてあげるとより楽しめます。
それでは、今回も「勝手にペアリング」からいってみます!
■勝手にペアリングを考えてみた
[貝類の刺身]
「淡白で上品、食感の良さ」その代表格の一つは、貝類と言えるでしょう。月影のような神秘的な奥深さと甘味には、アワビ、ツブ貝、ホッキ貝、帆立貝柱、赤貝、平貝などの刺身の味と食感が非常に良く合いそう。
淡白ながらじわじわと味が染み出る貝類の上品な旨味が、酒の奥深さと非常に良くマッチするはず。なお刺身ではなく、これらの加工品でも良い。帆立の貝紐なども味が酒に滲み出て美味しいはず。
[枝豆]
夏の季節感ある、僅かに芯が残る茹でたての枝豆があれば非常に好相性。新鮮な枝豆の旨味と香味、塩気がこの酒の強めの甘味やコクと混じることで、「ずんだ餅」にも近い風味が出来上がるはず。
[砂肝・軟骨類]
甘味がある程度あって芯もある酒。塩味の効いた会津地鶏の砂肝や軟骨などの食感を楽しむのも良さそう。純米酒ならではのじんわりとした旨味が広がること請け合い。
[クジラ肉の刺身]
新鮮なクジラの臭みが無い刺身は、会津の赤身が主流の馬刺しにも似た風味がある。「おのざき」で購入したクジラ肉の刺身を合わせてみた。これはもちろん「こりこりした食感」とは違いますが、会津の酒だけあって、馬刺しに似た風味とも好相性。辛味噌はもちろん、一緒に入っていた「くじら用のタレ」の生姜風味も良い。実に香味が引き立つ。
[茗荷・豆腐]
クジラ肉に合わせた生姜調味料の香味からヒントを得て、この酒に季節感とともに茗荷(みょうが)を合わせてみたら美味しいのではないかと思えた。それに合わせて、シャキシャキの薬味をたっぷり効かせた冷奴。
その冷奴からさらに連想を繋げて、阿武隈山系に伝わる発酵調味料「一升漬」を合わせても良いかもしれない。中に入っているシソの実のツブ感はアクセントになりそう。
[ニシンの山椒漬]
香り高い香辛料との相性は良かったので、山椒も当然合う。酸味や旨味、香味とのバランスから会津のニシン山椒漬は王道として使えると思う。
[こづゆ]
季節は外れてしまうものの、帆立の貝柱との相性から。キクラゲの食感も良いアクセントになりそう。
[会津トマトのカプレーゼ]
淡白なチーズ系との相性も良いので、会津トマトとベコの乳のチーズを使ったカプレーゼも美味しいはず。ジューシーな旨味、洋風のペアリングにもしっかり合わせてくれること請け合い。
それでは、いよいよfukunomoペアリングに行ってみましょう!
■今月のマリアージュ/ペアリングセット

・白河高原ナポリ舎 サルシッチャのピザ<福島県白河市/株式会社ステラフーズ>
・エゴマ豚味付 XO醬味<福島県郡山市/株式会社鈴畜中央ミート>
・小泉食品の肉じゃが<福島県いわき市/小泉食品株式会社>
・国産大豆使用 枝豆ざるどうふ<福島県郡山市/有限会社大内豆腐店>
・琴蒟甘(きんこんかん) わらびもち風 きなこ付<福島県古殿町/アクツフーズ株式会社>
・白河高原ナポリ舎 サルシッチャのピザ《福島県白河市/株式会社ステラフーズ》

まず最初は、サルシッチャのピザ。「勝手にペアリング」で提案した、トマトとモッツァレラの組み合わせをさらに豪華にした感じ。
ジューシーでスパイシーな、イタリア風に仕立てた生ソーセージの旨味が、香ばしい生地の上で力強く弾けます。そこに重なるのは、トマトの心躍らせる香味と酸味、モッツァレラチーズのとろけるまろやかさ。
この酒は、それらのダイナミズムも受けとめた上で、パイ生地のようにしっかりと包み込んでハーモニーにしてくれます。噛むごとにじっくり広がる小麦とチーズの風味を立ち昇らせ、酒の香りも立つ。しみじみ旨い。満足感が高いですね。
・エゴマ豚味付XO醤味《福島県郡山市/株式会社鈴畜中央ミート》

続いては、エゴマ豚味付XO醤味。XO醤とは、1980年代に香港発祥の調味料で、XOブランデー(XOとはブランデーの等級のこと。熟成年数が非常に長いExtra Oldの略。一般的には、VO = Very Old < VSOP = Very Superior Old Pale < Napoleon < XO の順に高級とされる。)の高級イメージから名付けられた、その名に相応しい贅沢な食材をふんだんに使った調味液。思い切った味付けの豚肉使ってきましたね!
香ばしく濃厚な香りが立ちのぼるたび、食欲がダイレクトに刺激されますね。旨味の詰まったエゴマ豚は驚くほどジューシーで、ひと噛みごとに肉の甘味とコクがあふれ出します。後味に、まさに高級ブランデーを彷彿とさせる芳醇な香りをしっかりと感じさせる。
そんな力強い味わいであっても、この酒は崩れない。思った以上に芯の強さが生きていて、繊細で上品な風味を静かに重ねてくる。味に彩りを与え、グラデーションを演出し、最後には驚くほど豊かな余韻を残してくれる。XO醤が持つ香りとも共鳴している感じ…?思った以上に良いペアリング。
・小泉食品の肉じゃが《福島県いわき市/小泉食品株式会社》

甘辛く煮込まれたじゃがいもと玉ねぎの香りに、なんとも言えない愛おしさを感じる一品。ほろりと崩れるじゃがいもと、柔らかく染み込んだお肉と出汁の旨味が静かに広がり、お酒の持つやわらかな空気感をしみじみと引き立ててくれる。口にするほど、具材のみならず心までもほどけていく。
思わず誰かと分かち合いたくなるような、優しさに満ちたひとときが味わえます。
「酒を味わう」──それは同時に、こうしたひとときを愛することでもあるというのが持論です。
・国産大豆使用 枝豆ざるどうふ《福島県郡山市/有限会社大内豆腐店》

ここで、夏の空間に輝く枝豆ざる豆腐。箸休めも含め、場の空気を涼やかに寄り添います。
枝豆のエッセンスが入った豆腐はそのまま食べても美味しいですが、ひとつまみの塩を添えることで、豆腐の甘味と枝豆の風味が一層際立ちます。
更に酒が加わることで、それらの甘味、香味に酒の旨味も混じり合って、サウナの「ととのう」にも似た心地良さを感じさせます。
・琴蒟甘(きんこんかん) わらびもち風 きなこ付《福島県古殿町/アクツフーズ株式会社》

初夏の水辺を思わせるような透明感のある佇まい。
蒟蒻をわらびもち風に…?と思いつつ口に入れると、ぷるんとした食感のこんにゃくが口の中で静かにとろけ、やさしい甘味がふわりと広がります。お酒と合わせることで香ばしいきなこの香りさらに立ち、重なり合う。素材感を感じさせる優しい味わいでありながらも、まさに「納涼」を感じるにふさわしい銘品ですね。
今月も、ご馳走様でした!
今回もご紹介させて頂いたfukunomo。もし良ければ、みなさまご一緒に楽しみませんか?
fukunomoは美味しい!楽しい!はもちろんのこと、福島県内の酒蔵さんやおつまみの企業さんを応援する、福島に息づいている文化を守っていく一面もあります。ぜひご利用頂ければ幸いです。
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