独りの晩酌にも華を~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年11月号|白井酒造店)

祝!連載1周年○今月のお酒は「萬代芳 純米酒」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@Nonbeekaeru)が、fukunomoを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました。
今月は、会津美里町の中でも会津高田梅の産地で知られる高田地区にある、白井酒造店さんの「萬代芳 純米酒」。歴史ある酒蔵の地元向け銘柄は、林さんも初体験なようです…ぜひ、ご覧ください!

※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第13回目】

朝晩の冷え込みが、かなり厳しくなってきましたね。福島では吐く息も白く、もう着実に冬の足音が近づいてきています。

ところで、今月でfukunomoでの私の連載も一年を迎えて、二度目の11月号の記事となります。この一年でfukunomoを新しく始めてくださった方、連載を楽しんでくださった方、みなさまからの応援があって今のところなんとか打ち切りも免れ(笑)、連載を続けさせていただけました。本当にありがとうございます!(´▽`*)

さて。そんな記念すべき今月のお酒は、福島県会津美里町、白井酒造店「萬代芳 純米酒」です。

白井酒造店さんは、明和2年(1765年)の創業。ここのところご紹介している蔵は、みんなかなりの歴史ある蔵ばかりですね。たとえばフランス革命が1789年のことですから、それよりも前からあると考えると結構驚きです。
日本酒の蔵元は意外と古くからある蔵が多いのですが、現存する酒蔵さんで最も古いとなると、茨城県笠間市の須藤本家さんは永治元年(1141年。なんと鎌倉幕府成立以前!)の創業なのだとか。

この白井酒造店さん。昔ながらの小規模な蔵ではありますが、独特の魅力あるお酒を造っています。
その中でも、この酒蔵随一の有名な銘柄といえば、やはり「風が吹く」でしょう。この銘は平成17年に立ち上げられた新しいブランド。醸造用の乳酸を使ってややスッキリさが出やすく仕立てた速醸と、昔ながらの自然乳酸を使ってより骨太さを引き出す山廃との二枚看板です。

いずれも会津の酒の中では比較的重厚感と飲み応えを誇る濃厚旨口の酒ではありますが、同時に、その名のように一陣の風にも似たハッとさせるような、駆け抜ける爽やかな風味をも刹那に感じさせます。
芳醇にして、風味爽快。
矛盾するかのようなその二つの魅力を絶妙な調和で届けてくれる銘酒です。

その白井酒造店さんから今月お届けするお酒は、有名な「風が吹く」……

…ではなく。敢えて、昔から地元で愛され続けてきた「萬代芳」の名を冠した酒。地元向けの一本です。

拍子抜けしました? いえいえ。ご安心ください。なにしろ、地元向けのブランドは「世界屈指の銘酒揃いの福島県。その中でも最強の激戦区会津で愛され、フランス革命以前から生き残ってきた酒蔵が、酒の味には一際うるさい口が肥えた地元のために醸す逸品」ですよぅ…?

白井酒造店さんの「萬代芳」は、子々孫々の代までの繁栄を願った縁起の良い酒。その名を冠した大吟醸が日本酒新酒観評会で幾度も金賞をとっていながら、実は福島県民ですら飲んだことが無い人が大多数。高い技術を誇りながらも生産量が限られていて、なにしろ県内でも一般的なお店にはほとんど並ばない。本当に見かけない。全然手に入らないのです。
いちど、福島へいらっしゃった海外からの大切なお客様のためにこの珍しいお酒の金賞受賞酒を探し求め、苦労してなんとか手に入れたこともありましたが、自分で飲む分まではありませんでした(笑)
「風が吹く」を幾度も飲んできた私にとっても今回、この純米酒はお初なのです。fukunomo、相変わらず、やるなぁ…。「風が吹く」だって十分レアな酒なのに、まさかの萬代芳純米…。

この希少で美味しい日本酒は、広い福島県の会津の片隅で、ほぼ全て飲み尽くされてきた秘蔵の地酒。その地元だけで独占されてきた特権を、今月もfukunomoは合法的に掠め取ってまいりました! さあ皆の衆! 今宵は大物が手に入ったぞ! 宴の用意を!!(人聞き悪いけど、そう呼べるくらいではなかろうかと)

さてさて。というわけで、今月も早速味わってまいりましょう。(*´▽`*)
カリ…っと小気味の良い音を立てて四合瓶の蓋を捻ると、いつもながら気持ちが高鳴りますね。

一通り色や立ち上る香りをチェックした後に、まず一口目を口に。なめらかな口あたりと、控えめでやわらかな香り。火入れしている酒ならではの、「貫禄」というのにも似た良い意味での落ち着いた風格と佇まい。後味にじゅわ…と滲む旨味。味わいに躍動感と輪郭を与えつつも飲み疲れさせない程度の僅かな酵母の香り。

おおー…これは………。

どうしよう。コレ、かなり好みの味わいです。

しっとりと、しみじみ、しっぽりと飽きることなく味わう旨い酒…という感覚。まさに、「福島の地酒」の本領発揮です。

自慢してしまって申し訳ないのですが、これぞ福島の、なかでもとりわけ高レベルの酒蔵の地酒。

この独特のバランス感。辛すぎずに辛く、甘すぎずに甘く。高貴な香気のヴェールをまといながらも近づき難さは無く、旨味を併せ持ったやさしい味わい。
挙句に、いつまでも飲み疲れせずに一晩中いけてしまいそうになる味わいは、そう多くありません。これはやはり、稀有な魅力だと思うのです。

独りの晩酌にも華を。華ではあれどアウェイ感が無い日常感と寛ぎを。寛ぎがあれども退屈さとは無縁な喜びを。
これは最高の晩酌酒という奴ではないですか。
外向けの派手さはないけれど、飲み始めるとぐいぐい飲めて止まらないという…。
まるで、外では優秀なビジネスパーソンとして最前線で活躍している恋人がプライベートで自分だけに見せる無防備で特別な表情や笑顔。そのやわらかな、他愛もない話題を楽しむかのような。
もしくは、忙しい日々の中でやっと工面した、旧知の友と呼べる相手との、問わず語らず、子供の頃のようにただ無邪気に笑い合えるようなひとときのような。
この、どこか懐かしくも切なく、かけがえのない愛しい味わいよ。
どうしよう、ホント好きです。ときめいて、胸がきゅんきゅん鳴ります。(笑)

今月のマリアージュ/ペアリングセットは

今月のメインである都路のチーズウィンナーと合わせると、パリ…っとした直後に、不意にねっとりと濃密に絡みつくようなチーズのドキっとさせる味わいが口いっぱいに広がります。それに続いて溢れ出る、銘柄豚のジューシーな肉汁。
もうとっくに、ほろ酔い気分の心地よさなのに、そこから更に心地良く、トローン…と夢見心地に蕩けさせてくれるような。

…あ、申し遅れましたがこのハム工房都路さんが造る製品、本場ドイツのコンクールなどで表彰されるような極めて優秀なソーセージです。やや高価なものの、品質は折り紙付きです。

それに続く「会津産大豆もめん豆腐えごま入り」は、箸で簡単には切れないほどみっちりと身が締まった豆腐。これは、ちょうど一年前の11月号にも入りましたね。「あやこがね」大豆を使った、喉越しも心地良い、酒飲みにはたまらない味わいのお豆腐です。

あぶくま高原などを中心に福島では比較的盛んに栽培され、食べると10年長生きすると言われる高級食材「じゅうねん」を練り込んだことで、香りの高さもひとしお。豆腐と合わせての素材感が際立ちますね。自然からの恵み、素材を身体に入れている…という強い感覚が得られます。

そこに、今年はなめたけを加えて。
こうすることで、チーズウィンナーに引き続いての蕩けるようなぬるぬる感がさらに味わえます。
その味わいが引き締まった豆腐の素材感溢れる味わいと合わさって共鳴し、双方の魅力を更に高めあいます。コラボが実に素晴らしい。緩急のつけ方が実に理に叶ったペアリングですね。お酒だけでなく、おつまみ同士もちゃんと合わせてくれている。

物珍しさや一品一品の美味しさ自体も当然魅力的ですが、こういう、一見してわかりにくく、実際に飲んで味わって気付く繊細な気遣いや設計もまた、fukunomoの良さでもありますよね。ちょっぴり、京料理や懐石、老舗の料亭感がある? かもしれない。判る人には、判ってしまう。

もちろん、難しいことなど何も考えずにただ美味しく食べるだけでも充分すぎるくらいに楽しめるのですが、毎月送られてくるセットの端々に息づいているハイコンテクストなメッセージや魅力を感じられると、fukunomoはより楽しくなるかもしれません。だからこそ、やめられない。(笑) いわゆる、初心者から上級者まで幅広く楽しめるというヤツですね。いつもこれらを選定・設計しているfukunomoの松岡さん、改めてすごいなー。
この感動はぜひ個々の味わいだけではなく、お酒とこのセットをちゃんと実際にペアリング/マリアージュとして合わせて味わって頂きたいですね

そこにさらに加えて、乾物。福島名産として最近一部の通の間で人気の「まめや」さんの「磐梯豆 あげ塩」です。手作りで作られていて、過去には農林水産省食品流通局長賞受賞、福島県ブランド化特定産品選定賞受賞? だとか…。
私、プライベートでも、まめやさんの豆は結構食べてます。美味しいんですよー?

この磐梯豆、食べてみると豆の風味を生かしながらの軽快な煎り揚げの妙。同じ大豆同士のせいか先ほどの豆腐とのあわせもあって、溢れ出る素朴でじわじわと沁みる素材感の取り合わせがやめられないとまらない。豆腐もそうですが、豆とか塩って、なんで酔った身体にこんなに心地良いのでしょうね。( *´艸`)

最後に〆としてくるのは、会津の身知らず柿。その名の由来は、実の大きさと重さで枝が折れてしまうほど身の程を知らずに多くの実をつけてしまうから、だとか。
この品種は皇室への献上柿ともなっている逸品です。福島、特に会津自慢の柿であり、その食感とジューシーさには、他の品種ではなかなか味わえない特別感があります。
そういえば、柿は欧米では比較的見慣れない果物で、先日は福島に来たアメリカの方に生まれて初めての柿を食べて頂いたこともあります。
海外ではまだその魅力があまり知られていないだけで、日本酒だけでなくワインなどに合わせてもそのポテンシャルを強く発揮する可能性に満ちているおつまみ。たとえば、福島名産のあんぽ柿などは、欧米でワインの定番おつまみにされている乾燥イチジクの上位互換品になれる可能性すら秘めているのではないかと個人的には思います。
このままでも美味しいですし、なんなら、クリームチーズなんかを一緒に合わせても絶品ですね。もちろん、今月の萬代芳にも!(*´▽`*)

【編集部からのお詫び】
「会津みしらず柿」は、今年の生育が例年より早く、11月末には旬を過ぎてしまうということで、今月のおつまみでお届けすることができませんでした。林さんへの原稿依頼時に「会津みしらず柿」を候補としていたので、そのまま掲載させていただきます。
11月号のお届けの際には、相馬市・海鮮フーズの「あなご味噌」を送らせていただきます。こちらも「萬代芳 純米酒」に合う絶品おつまみです。お楽しみに!

今月のfukunomoもまた、大変楽しませていただきました!
先にも書いたように白井酒造店さんは金賞を何度も獲得するほど実力がありながらも、そのお酒を味わったことがある方は福島県内でも少ないのです。ましてや今回の萬代芳ブランドはとても希少なもの。私も、大切な方へのとっておきの贈り物にしたこともある思い入れある一品です。
コレが届く幸せを、出来るだけ多くの方々にぜひ楽しんでいただければ幸いです。今月も、ごちそうさまでした!

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