彦十郎ハンパないって!~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年10月号|佐藤酒造店)

今月のお酒は「ふじや彦十郎」

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@Nonbeekaeru)が、fukunomoを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました。
今月は郡山駅からもほど近い佐藤酒造店。林さんもはじめて出会う酒、どんな風に味わったのでしょうか?どうぞご覧ください!

※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第12回目】

朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきましたね。つい最近のことだと思っていた、うだるような暑さが嘘のようです。

さて、空気に少し張りが出てきた10月におすすめするのが今回のお酒、「ふじや彦十郎」。郡山市北部にある佐藤酒造店さんが送り出す、渾身の一本です。

佐藤酒造店さんは宝永7年(1710年)に創業した、酒造りの老舗。代表銘柄である「藤乃井」は、酒造の敷地に美しい藤の花が咲いていたのを二本松藩主であった丹羽(にわ)公が見かけ、名付けたことが由来とのこと。
余談ながら、二本松ではお殿様が「丹羽様」であったために、節分のときに「鬼は外」は厳禁。(「お丹羽外」と言うと、お殿様を追い出す意味になってしまうため)
二本松の子どもたちは今も、「おにーそとー」と、声をあげながら豆まきをするのだとか。

小規模の造り酒屋ながらも長年地域で愛され続けてきた「藤乃井」は、そのほとんどが地域で消費されていました。
もともと普通酒が主体の酒造りでしたが二年程前に設備を一新し、吟醸や純米大吟醸を主体とした酒造りへの切り替えがされたばかりとのこと。しかも助っ人として、酒造り50年の大ベテランでもあり、全国新酒鑑評会で10年連続金賞を受賞するなど、名だたる銘酒造りにも携わってきた南部杜氏の高橋正芳さんを酒造りに迎えました。

とはいえ、あくまでも目指しているのは「地元の人が毎日飲める酒」
日本酒業界全体が日々レベルアップを続けていく中で(特に福島は、旨い酒があまりにも身近に溢れている激戦区)、地元からこれからも愛され続けていくために、更なる切磋琢磨を続けています。

そんな佐藤酒造店さんから新しく世に出されたばかりの酒が、今回の「純米吟醸 ふじや彦十郎」。長年地域で愛されてきた藤乃井ブランドの味わいと、レジェンドとも言えるベテラン杜氏の技が融合した逸品です。
相変わらずfukunomoは手が早いというか、驚きのラインナップですねー。
これはまたしても、黄金期を迎えている福島の酒から、最新作を先取りです。

今月のお酒 純米吟醸 ふじや彦十郎

この酒を今の時点で手に取ることが出来た方は、いわば、後に世界的アーティストとなったグループの初ライブに立ち合っただとか、後世まで続く歴史的ヒットになった作品が初めて掲載された雑誌をリアルタイムで手にとったかのような幸運と言えるでしょう。

では早速、お酒を開けていきましょう。
藤が描かれたラベルは、まるで花札のようなイメージですね。小洒落ていて、粋を感じさせます。
このお酒を今回は、大吟醸グラスに注いでみましょう。

鼻に抜けるのは、あまりにも綺麗な、教科書に載せたいほどお手本通りの理想的な吟醸香。メロンや梨、林檎を思わせるような強い「香気」。それでいて、決して香りだけに頼って先走らせず、後味までずっと飲み飽きさせない、もたれさせない絶妙な旨味とのバランスの良さ。

これぞまさに、日本酒の魅力に気付き始めた若き日の私にさらなる衝撃を与え、日本酒の世界へと決定的に突き落とした吟醸香。「悪酔いする酒」「オジサンがクダまいてる酒」という日本酒への先入観や偏見を決定的に打ち破った、まるで「お酒を知らない子供の頃に夢想した、未知の素敵な飲み物」のイメージそのままなのです。飲めばやがて心ウキウキ。なんて心地よさ…。

東北地方で主流を占める酒の流派・南部杜氏の持ち味を感じさせる、透明感とふくよかな味わいとを両立させる卓越した味わいと技術。流石です。しかもこの酒はちゃんと、南部杜氏系の中でも「福島の酒」らしさが一際強く出されている。

間違いありません。この味わいこそが、昔から愛され続けてきた気品高き「福島の大吟醸」の、王道と言えるような味わいです。
奇をてらわず、至極丁寧な造りで極めて高い完成度を誇る酒。身に纏う香気。複雑で多層的な味わいを持ちながらもバランスの取れた端正な味わい。貫禄が、オーラが違います。

…問題は、これが実際には「大吟醸」ではなく、「純米吟醸」。精米歩合は55%止まりだということ。信じがたい。これは通常、40%近くまで削った大吟醸クラスの強い吟醸香。しかし同時に、後味はす…っと心地良く抜けてもいきます。比較的、味の起承転結がしっかりしている。

ここからは推測に過ぎませんが。米のポテンシャルを最大限に引き出すことで一般的な「純米吟醸」のスペックを大きく越えた強い香りを感じさせ、その大吟醸と錯覚させる程に強い一口目のインパクトによって、後味には純米でありながら、まるで醸造アルコールで調整したかのような飲み飽きないスッキリさ、ドライさを感じさせるように、メリハリができやすい味の設計にまとめている…?
もしそうだとすれば、まるで最近の自動車業界でエコカーに使われているダウンサイジングターボ(従来のエンジンよりも排気量が小さい、しかしターボ付のエンジンを乗せることで、充分な出力を保ちつつも小型化と高燃費を実現させるもの)のようなイメージになるのかも知れません。あくまでも推測での勝手なイメージですけどね。

ただいずれにせよ、「王道」の味わいでありながらも、それがいたるところが卓越した常人離れの変態技術(褒めてます)の裏付けでガチガチにチューンアップされて造られているのは間違いない酒でしょう。

ちょっとどういうことなのか判りにくいかも知れないので、今年春のワールドカップで流行った「大迫テンプレ」で簡単に説明すると、

藤乃井ハンパないって!あいつ半端ないって!
精米歩合55%でめっちゃ40%大吟醸クラスの香りだすもん!
そんなん出来ひんやん普通!!

という感じ。そんな「ハンパない酒」が、今月のfukunomoからお届けされます。県内でも、まだこの酒を飲んだことがある人はごく僅か。重ね重ね、やっぱりfukunomoは面白い!

今月のマリアージュ/ペアリングセットは

ではそろそろ、今月のおつまみとのペアリングも楽しんでみましょう。

メインディッシュとなる『豚ロースの粕漬け』。これを『菌床しいたけ』と一緒に炒めて食べてみます。

豚肉としいたけは、やっぱり相性が良いですね! 粕漬けの香りと味わいが火を通すことで益々香ばしくなり、お酒の香り高さと味わいとが絡み合って口の中でほとばしるようなジューシーさが楽しめます

そこにさらに合わせるのが、『ツヴィーベルペースト』

このペーストそのものが非常に強い旨味を持っているのはもちろん、スパイスの調合もとても絶妙で、実に食欲をそそります。なにしろ原料も製造も、先日もご紹介した泉崎村の「夢味ポーク」と手作りハムのノーベルさんによるもの。
美味しいレバーは、いわば高級食材フォアグラです。これはガチョウではなく豚のフォアグラと言っても過言ではないでしょう。
フォアグラには上等な甘口ワインが至高!と言われていますが、それに全く引けを取らない煌めくような香り高い藤乃井の味わいが、濃厚なレバーペーストとの絶妙な相性を誇ります。これを無塩でシンプルな味わいの、クラシカルクラッカーと共に。

最後に控える『旬菜ぬか漬け』

昔は各家庭それぞれでぬか漬けを作っていたものの、今も作っているご家庭は少ないのではないでしょうか。
なおこれも余談ながら、昔、酒蔵に女性が入ってはいけないとされていた一番の理由はぬか漬けに毎日触れていたために雑菌を持ち込んでしまうからであった…との説もあります。現在でも、納豆を食べた日は入ってはいけない蔵もあるのだとか。(そういえばヤクルト工場で働いていた友人も、朝納豆を食べることが禁止されていました。納豆菌の生命力は強いのです)

ぬか床は、きちんと衛生的に管理してこまめに手をかけてあげないと、あっという間にダメになってしまいます。しかし今は、その手間をかけることなく、こうしてプロが衛生的に作ったぬか漬けが楽しめるのです。良い時代になりましたね。

このぬか漬けは本格的な風味が楽しめながらも、漬かり具合そのものは比較的あっさりとしています。これなら好き嫌いなく食べやすいですね。
バーで出されるスティックサラダをもっと食べやすく、もっと日本酒にしっとりと程良く合うように手掛けたような感じです
キュウリやニンジン、ダイコンが、心地良くシャキシャキ。旨味も塩気も、お酒と合わせての箸休めにもピッタリ!
特に今回は香りや味が強いお酒とおつまみの組み合わせなので、このぬか漬けはありがたいですね。

さて、今回もまた珍しい福島の地酒をご紹介させて頂きました。
私も相当福島県内外のお酒を飲んできましたが、今回もまた「初めての出逢い」。
おつまみも、知ってはいても遠くて中々買いにいけないものばかりです。(なにしろ福島県は北海道、岩手県に次いで日本で3番目に広く、浜通りのいわき市だけでも東京23区の倍以上の面積を誇るのです)
県内に暮らしていてもなかなか見つけられないお酒とおつまみがこうして毎月手元に届くのは、ありがたくて仕方ありません! ごちそうさまでした♪

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