瑞々しさの中にもしっかりとした円熟感のある風味。それはまるで紳士のよう「又兵衛 純米酒 いわき郷」~fukunomo愛好家 林さんの今月の酒語り(2018年3月号|四家酒造店)

今月のお酒は 又兵衛 純米酒 いわき郷
知的で社交的な、落ち着きのある紳士を思わせるような味わいとは、、、
いわき発!全国新酒鑑評会金賞常連の蔵が造る銘酒やいかに、、、

 

今月も福島県在住のfukunomo愛好家である林 智裕さん(@NonbeeKumasan)が、fukunomを体験しての感想および紹介文を寄稿してくださいました。今回はいわき市にある四家酒造店のお酒とそれに合わせる常磐ものの数々をレポートしてくださっています。福島の酒・食に対する愛情が溢れた文章、どうぞご覧ください。

※写真はfukunomo編集部撮影のものとなります。

【連載第5回目】

みなさま、こんばんは!
今宵もfukunomoを楽しむお時間がやってまいりました。
今月はどう来るのか??と、もう最近、毎月コレが届く時期が楽しみで仕方がありません。( *´艸`)

さて今月は福島県の東南部、浜通り最大の港町いわき市のお酒。
いわき市は東北でありながら冬でも雪が少なく、場所によってはみかんやオリーブも育つような穏やかな気候の土地です。
沖合の海は暖流の黒潮と寒流である親潮が交わる潮目の海。
常磐から三陸にかけてのこの海域にはたくさんの魚が集まってきて、世界三大漁場なんて言われてもいるんですよー。
いわき市は他にも、映画「フラガール」の舞台であるスパリゾートハワイアンズ、同じく映画「超高速!参勤交代」や「釣りバカ日誌」の舞台になったことでも有名でしょうか。

そんないわき市から今回届いたのは、四家酒造さんのお酒。
全国新酒鑑評会金賞常連の蔵でもある、浜通りきっての実力派です。
この四家酒造さんのお酒は、いわき市の地元で強く愛されているお酒で、なんと出荷量の95%ほどが福島県内どころかいわき市内だけで消費されてしまうのだとか。金賞受賞常連蔵の酒が、ですよ??なにその独り占め。いわき市民に対して独占禁止法とか何か、その類で罪を問えないものなのでしょうか???(笑)

・今月のお酒 「又兵衛 純米酒 いわき郷」

まさに「地酒」と呼ぶに相応しい四家酒造さんが造る銘酒「又兵衛 純米酒 いわき郷」。福島県民ですらいわき市以外では入手困難なのですから、県外となったらなおさらでしょう。今回もfukunomoは、安定のマニアック路線です。


この「又兵衛 純米酒 いわき郷」のエピソードとしては、かつて「釣りバカ日誌」の映画撮影でいわき市を訪れていた「スーさん」役の故・三國連太郎氏がこの酒を偶然飲んだところ惚れ込んでくださった、ということが知られています。相棒の西田敏行さんが体調を崩して入院し、退院したときの快気祝いにもこの又兵衛が贈られたのだとか。

ではでは、今月も早速お酒を開けてみましょう。

先月まで続いたフレッシュさが際立つ生酒とは違って、こちらは瑞々しさの中にもしっかりとした円熟感のある風味。「仕事が出来るヤツ」への信頼と期待、安心のような、ベテランの貫禄のような、落ち着いた静かな佇まいを感じさせます。

さっそく、一口目。飲みやすさを感じる少し控えめな香りと爽やかな飲み口が一瞬過ぎったあとに、ぎゅぅぅぅぅぅ、っとした小気味良い飲み口の強さが口の中で膨らみます。
それは口の中だけに留まらず、そのまま身体中を駆け抜けて隅々にまでじんわりと広がっていく感覚。まるで暗くなりはじめた街に、明かりが段々と灯り始めていくような。
…いや、あるいはもっと古風に、薪の炎。もっと五感で熱や匂い、薪が燃えて弾ける音や空気の揺らめきを感じるのにも似たこれは、連なった松明にゆっくりと火が起こされていく…とでもたとえる方が正確かもしれません。
生命の躍動感を感じさせるわずかな酸味と直火ローストした深煎り珈琲のようなコク味。しかしあくまでも重すぎない飲み応え。実に沁みますねぇ…。

こうした味わいは、昔ながらの「日本酒」の良さを感じさせる芯の強さというべきものでしょうか。
身体を温めてくれて、じんわりと良い気持ちにさせてくれるお酒。
ただし野暮ったいわけでもなくて、気難しい酒でもなく、飲み手を選ばず誰にとっても親しみやすい。
ところどころに感じる丁寧なバランス感と要所要所にスッキリと抜けるような飲みやすさが仕掛けてあります。
やや辛口でもあるのですが、決して辛さだけで押し切らない。香りはあるけれど、あくまでも控えめ。じわじわと噛みしめるような円熟の旨味。港町の酒だけあって魚とも相性が良いのですが、海のものに限らずさまざまな肴に合います。
正直これは、炊きたてのご飯にも似た美味しさ。食事をしながらじっくりと味わって飲むための、食中酒としての素晴らしい素養を持っています。つまり、ご飯がすすむ酒。マリアージュ・ペアリングの期待は高まります。

 

・今月のマリアージュ/ペアリングセットは

そこで今月のおつまみを。
まずは「常磐もの」である「やなぎがれいの干物」です。
福島以外でも見かけるお魚ではあるものの、「やなぎがれい」と聞いて馴染み深い人は、そう多くないかも知れませんね。


これはちょっとこぶりなカレイの仲間なのですが、これを焼き魚で食べると非常に上等で淡泊な白身と、柔らかくて全く臭みが無い皮が口の中で絡んできて実に美味しいのです。骨も少しはあるのですが、この骨の周りについた部分の白身もまた、クセになる味。あんまり大きすぎないくらいの個体の方が、より繊細かつ濃縮された旨さを味わいやすくなります。
震災前から潮目の海で獲れる「常磐もの」の中でも特にこの地域のやなぎがれいは高級品として高値で取引されており、料亭などでも使われるお魚です。

このやんわりとした上品なお魚に又兵衛を合わせると、淡泊で繊細な魚の味わいをやりこめず、かといってお互いによそよそしく遠慮する訳でもなく、お酒が肴を優しくエスコートするかのように受け止めてくれます
こうして合わせてみると、このお酒が持つ男性的な雰囲気がより高まる感じですが、決して粗野ではなく、流行りに流されずとも野暮ではなく、落ち着いた渋めの大人の気品とさりげない包容力もあり…なんというか、美学ともいうべきダンディズムのようなものを感じます。ちょっとカッコイイですね。

そう感じながらふと思い出すと、ああ、このイメージはもしかするとこの蔵の酒を愛していた故・三國廉太郎氏自身にも重なって見える?のかも知れません。

 

やなぎがれいに引き続いての肴は、こちらもいわきの名物、「さんまのポーポー焼き」


ポーポー焼きは、三枚におろしてなめろうのようにした秋刀魚に、ネギや生姜などを練り込んでハンバーグのように仕上げたいわきの郷土料理です。
そんな中でも今回のポーポー焼きは、水揚げ24時間以内、刺身にして食べられる程新鮮抜群のさんまを使った、小名浜さんま郷土料理再生プロジェクトさんが手がけた逸品。
少しカリっと焼き上げて口に入れると、自然からの恵みを感じさせる心地良い風味と、素材感に溢れた健康的な旨味がしみじみと広がっていきます。新鮮で良質の材料にこだわったからこその、さんまの旨さと香ばしさが絡み合いつつも臭みは無く、お酒との饗宴を純粋に楽しむことができました。

 

続いては、いわき市民に昔から愛され続けてきた長久保食品さんから「きゅうりの華」
見た目からも楽しめるおつけものです。


長久保食品さんといえば、「長久保のしそ巻き」という大根のお漬け物が非常に有名ですが、こちらはその別バージョンとしてきゅうりと人参を使ったもの。
こりっとした小気味良い歯ごたえと長久保さん特有の秘伝調味液の、老舗ならではのたまり醤油のような独特の味わい、そこに溶け込まれた穏やかなしその香りが、次の一口…をそそります。おいしい。

 

最後は、とまとランドいわき「カラフルミニトマト」


いわきは日照時間が長く美味しい野菜の生育にも適していますので、トマトの瑞々しく新鮮な風味が楽しめます。
これは、チェイサー(お酒の合間に飲むお水)代わりにもいいですね。お口をスッキリとさせてくれます。

 

ちなみに今回飲んで感じたのは、最初にも書いたように、このお酒の食中酒としてのレベルの高さ。
余ったお酒は後日、何度かの食事に合わせて他の組合せも試してみました。

比較的質素な食事、たとえばラジウム卵(福島では飯坂温泉でかつて日本国内初のラジウムが発見されたことから、ここの名物である半熟卵を昔からこういう名前で呼んでいます。ちなみに、名物になる程なので半熟卵としてもコレはかなり美味しい。福島市の卵の年間消費量全国一位を支えている原因の一つでもあると言われています。)をかけたご飯、納豆がけご飯を食べながら飲んでも飲みやすい。また、意外だったのは豚肉との相性が良い点でしょうか。オクラやアスパラの豚肉巻きやソーセージ、そういったものと合わせてもいけます。カリカリに焼いたベーコンなどとも合いそうですね。

一口目が飲みやすいもののきちんとコク味があって、それでいて重くないのでお酒自体がおかずにとっての「白いご飯」的な役割を担えるのです。ですから普通はお酒を飲むときにはご飯を食べない人が多いのでびっくりするかも知れませんが、このお酒は普通の白いご飯そのものを食べながらでも美味しく味わえます。

一般的に港町のお酒には魚のニオイをかき消すような、比較的キレが鋭く男性的な「力強さ」を感じる味わいのお酒が多くみられます。しかし「又兵衛 純米酒 いわき郷」は、同じく港町の酒らしい男性的な味わい…といいつつも先ほども書いたように、「力強さ」というよりは知的で社交的な、落ち着きのある紳士を思わせるような味わいです。
一つひとつの肴に対して、じっくりと向き合って付き合ってくれるような誠実な味わいは、それぞれの肴の個性を味わい深さへと変え、ゆっくりと魅力を引き出してくれます。もちろんときにはただ純粋に、この酒そのものの味わいと向き合って対話をするのも良いでしょう。なるほど、実に魅力ある一本でありました。ごちそうさまです!

・次回のお酒は

さて、来月は本宮市唯一の蔵元、「大天狗酒蔵」から届けられる「卯酒(うさけ)」。卯月(うづき)とも呼ばれる4月にはちょうどぴったりのお酒です。
昨年から発売したばかりの新ブランドとのことで、私もまだ飲んだことがないお酒。非常にレアな一品です!ぜひおたのしみに!

 

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