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飲んでさえもらえるのなら、日本酒にはこだわらない。峰の雪酒造場《福島県喜多方市》

コラム, 今月の酒蔵, 月刊fukunomo | | 2021年8月3日

喜多方ラーメンで有名な喜多方市。
峰の雪酒造場は、その中心部に位置しています。

看板商品は、既に廃業した本家から受け継いだ『大和屋善内(やまとやぜんない)』。
近年では、はちみつ酒「ミード」や、低アルコール日本酒『ハツユキソウ』シリーズなど、定番の日本酒だけでない、幅広いお酒を造っています。

今回fukunomoでお届けするのは、低アルコール日本酒の『ハツユキソウ Clear』です。
日本酒好きの方には、「低アルコール」というのが物足りなく聞こえるかもしれません。
ですが、飲んでみればきっとその魅力がわかります。

まずは、『ハツユキソウ』に込めた蔵元の想いを聞いてみてください。

製造部部長 佐藤 健信さん
大学卒業後、新潟の「麒麟山酒造」に6年間勤め、営業と酒造りを学ぶ。2009年より峰の雪酒造場へ。酒造りを担っている。

「日本酒」にはこだわらない

今月お届けした『ハツユキソウ Clear』は、アルコール度数13度の純米酒です。
漢字ではなくカタカナの商品名、ラベルの“RICE WINE”という文字…一見するとワインのよう。これは佐藤さんの狙いでした。

「ラベルのデザインをお願いする時に、『日本酒っぽくしないでください』と伝えました。“RICE WINE”というフレーズもあえて使っています」

 “福島の日本酒”の名が全国に広まっているとはいえ、残念ながら日本酒を飲む人の数は年々減っています。
ワインにサワーにハイボール、飲み手の選択肢は増えていく一方です。

「この状況で『日本酒を飲んでくれ!』とは思いません。“間違えて”飲んでもらえて、それで美味しいと感じてもらえたら、それでいいんです。『何だ、このラベル?』『あれ、美味しい』…くらいでかまわない。『日本酒』と聞いて敬遠されるくらいなら、そこにはこだわりません」

『ハツユキソウ Clear』は「清酒」ですが、シリーズの『アップル』や『グレープ』は「その他の醸造酒」です。
10年前に生まれ、峰の雪酒造場の名を広めたはちみつ酒「ミード」も、同じく「その他の醸造酒」でした。
飲んでさえもらえるのなら、呼び名やジャンルなど関係ない―。
峰の雪酒造場の姿勢は、ずっと変わっていないようです。

低アルコールでも飲みごたえを

「飲みやすい、低アルコールの日本酒を」という想いから『ハツユキソウ』が誕生したのは3年前のこと。
しかし、アルコール度数を下げると、どうしても飲みごたえがなくなってしまいます。
“薄めた”ような味にならないよう、3年間見直しを重ねてきました。

「たった2度アルコール度数を下げただけでも、酒の味や香りは大きく変わります。どうすればもっと味が出るか、香りが出るか……と、酵母や麹歩合のバランスを調整しています。『ハツユキソウ』という名前こそ同じですが、毎年ちがう酒を造っているようなものですね」

初雪草は、夏に白い葉を広げる涼しげな植物です。『ハツユキソウ Clear』も、この夏の暑さを和らげてくれるはず。
冷やしておいて、暑い日に汗をかきながら飲んでみてください。

蔵の前の花壇には、今年の仕込みを機に植えた初雪草が。

酒造りは苦行⁉︎

佐藤さんに酒造りの面白みを伺ってみると、なんと「うーん……酒造りは苦行ですよ」という言葉が返ってきました。

「冬の酒造りの時期になると、『ああ、あと何日で終わるな』とカウントダウンしているくらいです。夜に一人で蔵にいると、『何でこんなことをしているんだろう……』と考えたりしてね」

それでも、酒造りについて話す佐藤さんの表情は本当に楽しそうです。
毎年『ハツユキソウ』の造りを見直し、ラベルデザインを変え、ラインナップも徐々に増やし……と、かなり精力的です。

「大変なのはたしかですが、それでも、何か新しいこと、面白いことをしたいといつも考えています。つくり手が楽しく、面白がって造っていないと、その気持ちはお客様に伝わってしまいますから」

だから、いくら大変でも新しいことへ挑むことを止めません。

「うちはこんなに小さな蔵ですし、失うものはありません」
―静かなその言葉から、覚悟が伝わってきました。

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峰の雪酒造場
福島県喜多方市桜ガ丘一丁目17
TEL:0241-22-0431
https://minenoyuki.com/

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