大七の美学〜効率や利便性を超えた先にあるもの〜

DSC_0224(大七酒造 十代目当主 太田 英晴氏 インタビュー)

先人が残してくれた生酛(きもと)作りは大七にとってのみならず、日本酒全体にとって大切な宝物です。大七酒造は、生酛造りを後世に正しく伝えること、そして、大七の美学を継承していくことを使命と考えています。

私はかつて、「コストをかけている割に高く売れない、生酛造り」を行っている父や祖父のやり方に、疑問を抱いていました。
しかし、祖父が第一線を退き、父や祖父と同じ目線で見るようになってから、歴代の当主が大事にしていた、「熟成に時間のかかるお酒を造れば、おいしさもその時間に応じて増す」という、生酛造りの良さと価値を感じられるようになりました。
「生酛造りはやめるな、大七にとって一番大事なんだ」が口ぐせの祖父が残してくれたもの。それは、力強くて洗練されたお酒、濃醇さがあり、なおかつ雑味のない綺麗なお酒です。
大事な想いとともに、生酛造りに代々こだわる酒蔵を継ぐことができ、とても嬉しく思っています。

大七に流れる美学とは、作り手の献身は単なる効率や利便性を超えた、もっと大切な価値のためにあるのだ、という確信のこと。そのために、生酛造りを続けるだけでなく、一地方企業でありながら、次々と業界初となる、革新的な技術の開発を成し遂げてきました。

daishichi_face

例えば、米の糠分を無駄なく取り除く「超扁平(ちょうへんぺい)精米技術」。瓶詰の際にお酒が酸化されることを防止するための「無酸素充填システム」。
このように、必要であれば新しい技術も取り入れながら、お客様に自信を持って提供できるお酒を造り続けています。

米の潜在力をあますところなく極め、その豊かな精髄を飲み手の方々にお届けしたい。それが大七の変わらぬ願いです。

生酛(きもと)とは、日本酒の製法用語の一つで、現存する酒造りの技法の中でもっとも伝統的な造り方である。たいへんな労働を必要とするため、しだいに工程を省略する手法が探究され、明治時代に山廃酛(やまはいもと)が、ついで速醸酛(そくじょうもと)が考案された。一時期、生酛造りはほとんど行なわれなくなったが、近年の伝統再評価の流れの中でふたたび脚光を浴びつつある。
*Wikipedia「生もと」より引用

【編集部注】太田社長が語ってくれたように、生酛造りのお酒は通常、一定の熟成期間を経て味を深めていくものですが、今回お届けする「雪しぼり」は、熟成期間をおかない新酒ながら、大七酒造の創意工夫によって、熟成させた生酛造りと同じような濃醇さを味わえる、特別なお酒です。

太田 英晴さん プロフィール
昭和35年生。東京大学法学部卒。国税庁醸造試験所で研修後、大七酒造に入社。専務取締役、取締役副社長を経て、平成9年8月より現職。(社)日本青年会議所酒類部会 第40代部会長(1999年度)

fukunomoに申し込む